電力需給のバランス維持を目的として、政府は2023年3月31日まで節電要請を行うことを発表しました。そのため、個人だけでなく企業も節電活動への協力が求められています。しかし事業者によっては、「節電要請についてよくわからない」、「節電要請にどう対応したりリスク管理したりすればいいのだろうか」と悩んでいるケースもあるのではないでしょうか。
そこで今回は、節電要請で求められていることや対象期間、電力不足に備える方法について詳しくご紹介します。節電要請などの影響を抑えたい方や節電要請が今後も起こり得るのか知りたい方などは、参考にしてみてください。
政府の節電要請とは?
まずは、政府の節電要請について1つずつ確認していきましょう。
電力不足を防ぐための措置
政府の節電要請は、電力不足による大規模停電を避けるために行っている措置の1つです。
対象には家庭だけでなく、企業も含まれています。また具体的な節電内容や目標は定められていないため、無理のない範囲で協力することが可能です。
たとえば、照明の使用時間を抑えたりパソコンを省エネモードで使用したりといった活動は、節電要請に対応しているといえます。
2022年の節電要請期間は、2022年12月1日~2023年3月31日でした。ただし節電要請自体は、電力の需要や供給量のバランスによって今後も行われる可能性があります。
過去の事例では、2022年7月~9月にも発令されているので、電力需要の高まる夏にも実施されるかもしれません。
節電量に応じてポイントが付与
政府の節電要請に合わせて節電活動を実施した場合は、節電量に応じてポイントを獲得できます。
政府から認定を受けた電力会社が節電キャンペーンを実施し、キャンペーン参加者の節電量に応じたポイントを進呈します。ポイント進呈を行っている電力会社に対して、キャンペーンに伴う費用を政府が補助しているという仕組みです。
節電キャンペーンに参加したい場合は、契約している電力会社のHPからマイページへログインし、申請する必要があります。
節電ポイントの条件は、以下3つに分かれています。
節電キャンペーンに参加 |
ポイント進呈回数1回 家庭:2,000円分のポイント進呈 企業:200,000円分のポイント進呈 |
節電キャンペーン参加後、毎月の使用料電力量を前年の同月と比較して3%以上減少 |
2023年1月~3月末まで、1ヵ月あたりのポイント進呈数 家庭:月1,000円分のポイント進呈 企業:月20,000円分のポイント進呈 |
電力需給ひっ迫注意報・警報が発令された際に節電を行う | 家庭、企業:1kWhあたり最大で40円相当のポイント進呈 |
付与されるポイントの種類は、電力会社によって異なります。
たとえば、東北電力は「よりそうeポイント」、東京電力なら「くらしTEPCOポイント」が進呈されています。獲得したポイントは、提携中の他社ポイントや食品などに交換することが可能です。
「よりそうeポイント」の場合は、東北6県と新潟県の特産品や寄付、Amazonギフトやnanacoギフト・Pontaポイントなどと交換できます。
このように節電ポイントは、お得に買い物したい方や特産品を獲得してみたい方にメリットがあります。まずは、現在利用している電力会社で提供されているポイントを確認してみましょう。
なぜ節電要請が発令されているのか
節電要請の概要を把握したあとは、なぜ発令されるのか理由を確認していきましょう。
発電能力低下による電力供給不足
国内の発電能力低下と電力供給不足が続いているため、政府でも節電要請を含むさまざまな対策を行っています。
日本の主力電源(ベース電源)は、火力発電と原子力発電です。両発電所は常に一定の発電量を維持でき、なおかつ電力需要に合わせて柔軟に発電量を調整できます。
しかし、東日本大震災によって発生した福島第一原子力発電所の事故を受け、多くの原子力発電所が稼働停止を余儀なくされました。
さらに火力発電所は老朽化による稼働休止、故障といった事例も出ています。2022年3月に発生した福島県沖地震では、原町火力発電所1号機や広野火力発電所6号機など、いくつかの火力発電所が故障しました。既に復旧している火力発電所もありますが、老朽化などによって電力供給能力が低下しやすい状況です。
リモートワークなどで電力需要が増加
2020年から発生した新型コロナウイルスによる自粛やおうち時間、リモートワークによって、電力需要が増加しています。
リモートワークやおうち時間のケースが増えると、オフィスの電力需要は減ります。しかし、家庭で照明やPCなどを使用する時間が増えるため、全体の電力需要量は増加しやすい状況です。
さらに前段で紹介したように、発電所の供給能力に問題が生じており、電力不足に陥りやすいといえます。
国際的なエネルギー市場が不安定な状況
節電要請が行われた背景には、エネルギー市場の不安定化も関係しています。
2022年は、ロシアによるウクライナ侵攻によって国際的な原油・LNG・石炭の価格が高騰し、日本の燃料調達コストも高止まりの状態で推移しました。
さらに2023年時点でもウクライナ侵攻が続いていて、国同士のエネルギー獲得競争も激化している状況です。
そのため、火力発電に必要な原油やLNG・石炭を輸入に頼っている日本では、、電力供給能力にも影響を与えています。
節電要請に伴い電力需給対策も進む
政府では電力不足による停電といった問題を避けるため、節電要請以外にもいくつかの対策を実行しています。そこでここからは、政府による節電要請外の電力需給対策をいくつか紹介します。
電力の供給に関する対策
政府の電力供給対策とは、電力供給能力を上げるための対策を指しています。具体的には、休止中の発電所の稼働や追加の燃料調達、発電所の突発的な稼働停止防止策に関する徹底、再生可能エネルギーや原子力発電所の積極的な活用といった内容です。
中でも再生可能エネルギーの活用は、電力会社以外の企業も導入しやすい対策です。
火力発電所と異なり、太陽光発電所はエネルギーの輸入が不要で、なおかつ自社の遊休地や倉庫・工場といった屋根、駐車場などさまざまな場所で運用できます。
出典:経済産業省ウェブサイト
電力需要の抑制につながる対策
政府の電力需要対策には、節電要請の他、以下のような対策も含まれています。
- 対価支払型のディマンド・リスポンス推進
- 省エネに関する設備投資に向けた補助金
- 工場やビルに関する省エネ診断の費用補助
- 住宅の省エネリフォームに関する支援制度
- 計画停電の準備
出典:経済産業省ウェブサイト
対価支払型のディマンド・リスポンスは、電力を消費している家庭や企業に節電を要請し、節電量に応じたインセンティブを提供する仕組みを指しています。
その他の対策は、省エネによる消費電力量削減へ向けた内容で、省エネ設備やエネルギー効率の高い建物に対する補助や支援制度を受けられます。
今後省エネ設備を導入する場合は、国の補助金制度を確認してみましょう。
電力システムに関する対策
政府では、電力需要の抑制策や供給能力向上に関する支援に加えて、電力システム全体の抜本的な改善についても検討しています。
たとえば、予備電源の確保、燃料の調達や管理方法の強化、分散型電源の活用など、今後電力不足を引き起こさないようにするための対策がまとめられています。
特に分散型電源の活用などは、企業にも取り入れる価値のある内容です。非常用発電機や太陽光発電、産業用蓄電池などの設置を検討してみてはいかがでしょうか。
出典:経済産業省ウェブサイト
節電以外で電力使用量を減らすには?
節電要請は、今後も実施される可能性があります。そこで企業は、節電だけでなく省エネ設備の導入や非常用発電機の設置を検討しておくのも大切です。
以下に主な非常用発電機や蓄電池を紹介します。
- ディーゼル発電機
- ガソリンエンジン式発電機
- LPガス発電機
- 電気自動車とV2H
- 産業用蓄電池
- 太陽光発電
中でも太陽光発電は、燃料の調達や備蓄不要で発電を継続できるのが強みです。さらに全量自家消費型太陽光発電であれば発電した電気を全て自社の設備へ供給できるため、照明設備や空調の他、産業用設備などを同時に稼働できます。
全量自家消費型太陽光発電の費用を抑える方法
全量自家消費型太陽光発電は、他の非常用発電機と比較して長期的に発電を継続でき、なおかつ平時から電気料金削減効果が見込めます。しかし初期費用が1,000万円以上かかるのがデメリットです。
そこで最後は、全量自家消費型太陽光発電の費用を抑える方法について紹介します。
PPAモデルで初期費用0円
PPAモデルを利用した場合は、初期費用0円で全量自家消費型太陽光発電を設置および運用ができます。
PPAモデルは、自社の遊休地や建物の屋根にPPA業者所有の太陽光発電を無償で設置してもらえる運用方式です。発電した電気は、自社の工場やオフィスで自家消費できます。
自家消費した分の電気料金は、PPA業者へ支払います。つまりPPAモデルの場合は、電気料金の負担のみかかります。
契約期間終了後は、太陽光発電を撤去もしくは無償で譲渡してもらえます。
補助金制度を活用
国では、全量自家消費型太陽光発電に関する補助金制度も実施しています。
たとえば、「ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」は、蓄電池と自家消費型太陽光発電を同時に導入した場合に、1kWあたり4万円の補助金を受けられます。(補助率の上限:対象経費に対して3分の1)
出典:環境省ホームページ
他にも「新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業」は、ソーラーカーポートやソーラーシェアリング、水上型太陽光発電などの導入時に補助金を受けられます。計画策定にかかった費用の補助率は4分の3で、設備費用に対しては3分の1もしくは2分の1です。
出典:環境省ホームページ
和上ホールディングスでは、全量自家消費型太陽光発電に関する補助金制度の調査や申請代行まで対応しています。少しでも初期費用を抑えたい方も、お気軽にご相談ください。
自家消費型太陽光発電の導入で節電要請にも柔軟に対応できる!
節電要請は、家庭や企業に求められる国主導の政策です。前回の節電要請は2023年3月31日まででしたが、今後も電力市場の急変や電力需要の大きな変化などで再度要請される可能性もあります。
節電要請に備えてエネルギーの自給自足を考え始めた方や節電以外の方法で電力不足に備えたい方は、今回の記事を参考にしながら全量自家消費型太陽光発電を検討してみてはいかがでしょうか。
弊社和上ホールディングスでは、全量自家消費型太陽光発電の企画から設計、施工、設置後の運用保守まで一括対応しています。導入方法に関しては、通常の設置に加えて和上ホールディングスとの間でPPA契約を交わすPPAモデル、自己託送方式などをお選びいただけます。さらに設置場所は、地上設置と屋根設置どちらにも対応可能です。
少しでも全量自家消費型太陽光発電に関心をお持ちの時は、お電話やメールからぜひお気軽にご相談ください。