遊休地や活用予定の無い山林といった土地を所有している方の中には、土地売却について検討し始めている方もいるのではないでしょうか。土地を売る際は、流れや相場、費用などについて理解しておかないと思わぬ負担につながる可能性もあります。
そこで今回は、土地売却の流れについてわかりやすくご紹介します。雑種地や農地を売却したい方や、わかりやすい土地売却の記事を読みたい方などは参考にしてみてください。
土地売却には何を準備すればいい?
これから土地を売る時は、資料整理や相場の調査といった準備を入念に進めておくことが大切です。それでは、土地売却の前に準備すべき項目をわかりやすく紹介していきます。
土地情報や資料を整理しておく
土地を売るためには、自身の所有している土地や周辺情報の整理などを進めておく必要があります。具体的には、以下のような整理や準備を進めておきましょう。
- 固定資産税納税通知書の準備
- 土地の境界線を把握できる書類
- 登記識別情報といった土地の所有者を確認できる書類
固定資産税納税通知書は、土地および不動産売買の際に必要な書類の1つです。毎年4月上旬頃に送付されるので、しっかり保管しておきしましょう。土地の境界線に関する書類を所有していない場合は、測量事務所で測量および作成してもらえます。
その他には、土地売却の手続きに必要な実印や印鑑証明書、身分証明書なども準備しておきましょう。法人の場合は、法人印と印鑑証明書、法人代表もしくは取引の責任者に関する身分証明書などが必要になります。
売却相場を調査
土地売却に必要な書類などを準備したあとは、土地の売却相場について調査してもらいましょう。
具体的には、いくつかの不動産会社へ土地の査定を依頼します。査定方法に関しては、提出した書類やデータをベースに算定する机上査定と、現地調査による訪問査定の2種類に分かれています。
また机上査定は、最短即日で結果を確認できる簡易査定と、数営業日かけて詳細な査定を行う方法に分かれている場合もあります。
査定内容の精度については、訪問査定の方が高い傾向だと言えます。訪問査定では、図面による情報だけでなく残置物や土地周辺の環境や施設など、現地調査でなければわからない部分も確認してもらえるため、より詳細かつ精度の高い査定結果を提示してもらえます。
土地売却の流れ
事前準備と不動産会社への査定依頼および確認を進めたあとは、契約と土地売却に向けて話を始めていきます。続いては、査定依頼後の土地売却に関する流れを確認しましょう。
媒介契約を交わす
査定依頼を行いサービス内容や価格に納得できれば、不動産会社との契約手続きに進みます。
不動産会社との契約方法は、一般媒介契約と専属専任媒介契約、専任媒介契約といった種類に分かれています。一般媒介契約の場合は複数の不動産会社と契約できる一方で、担当者とのやり取りなど手間のかかる側面もあります。
専任媒介契約では、1社の不動産会社と契約し、買い手の内覧調整などさまざまなサポートを進めてもらえます。複数の会社と契約できないものの、売り手側の負担を軽減することが可能です。また、売り手自身で買い手と直接取引することも認められています。
3種類の中でも特に専属専任媒介契約は、売却にかかる手続きや活動を不動産会社に任せられる方法です。契約は1社のみになりますが、契約翌日から5日以内に物件情報を登録してもらえるため、スピーディに売却活動を進めてもらえます。(※不動産会社は契約翌日から5日以内に「レインズ(不動産ネットワーク)」に物件情報登録の義務がある)
売買契約に向けた活動を行ってもらう
不動産会社との契約手続きを進めたあとは、売り出し価格の設定を行い、売却活動を進めてもらいます。なお、売り出し価格の設定については、前段の媒介契約より前に行う場合もあります。
不動産会社では、事前の査定価格を目安に土地の売り出し価格を売主へ提示します。そして提示された価格をもとに実際の売り出し価格を調整し、店舗やインターネットへ物件情報と共に掲載します。
また不動産会社の担当者は、物件情報の作成やチラシの配布および店舗での掲載、インターネット上での物件情報更新管理、購入希望者との交渉や内覧などといったさまざまな対応を行っていきます。
販売活動における問い合わせ件数や内覧の結果などのさまざまな情報は、不動産会社から定期的に伝えられます。
決済を行い引き渡し
購入希望者との間で話がまとまった場合は、不動産会社側で売買契約書の作成や契約手続きを進めていきます。
また売買契約の際は、事前に買主と売主双方で契約書の内容や重要事項を確認し、不動産会社側から説明を受けます。契約当日は、買主と売主で契約書への捺印や記名を行います。
ちなみに契約の際は、不動産会社の担当者と買主、売主が同席します。
その後は、買主から手付金を支払ってもらい、土地の引き渡し日に残りの金額を受け取る流れです。(手付金の役割:買主もしくは売主が契約義務を果たさない場合、買主は手付金を放棄する。売主の場合は手付金と同額の支払いおよび返還義務が発生する。)
なお土地売却によって売却益を得た場合は、確定申告に向けて経理関係の作業と確定申告書の作成を進めていく必要があります。
土地売却における注意点
ここからは、土地売却における主な注意点についてわかりやすく解説していきます。
土地売却には費用がかかる
土地を売却する際には費用がかかるため、費用項目や目安について把握しておくのも大切です。
以下に主な費用を紹介します。
- 不動産会社への仲介手数料
- 測量費用(測量事務所による測量が必要な場合)
- 解体撤去費用(売却予定の土地に建物や設備がある場合)
土地や建物の売買に伴う仲介手数料は、売却金額によって変わります。
売却金額 | 仲介手数料 |
---|---|
200万円以下 | 売却金額×5% |
400万円以下 | 売却金額×4%+2万円 |
400万円を超える | 売却金額×3%+6万円 |
売却金額に応じて仲介手数料が変わるので、事前にいくらかかるのか計算しておきましょう。
また、土地の境界線に関する図面や書類が手元にない場合は、測量事務所へ測量を依頼しなければいけません。測量費用は測量事務所や土地の面積によっても変わるものの、土地売却において必要な確定測量の相場は一般的に40~50万円程度です。
建物の解体撤去費用については、建物の構造や坪数などによって変わります。たとえば、鉄骨造りの建物を撤去してもらうには、1坪あたり3~6万円程度の費用がかかります。
土地売却後には税務処理が必要
土地売却を検討する際は、税務処理についても把握しておく必要があります。
以下に主な税務処理を紹介します。
売却益に対する税金
印紙税
抵当権付きの場合は抵当権の抹消による登録免許税の負担
個人の場合は、売却益に対して譲渡所得税の納税を行います。法人の場合は、法人税という区分で他事業での売上と合わせて所得や納税に向けた準備と手続きを進めていきます。
印紙税は、土地の売買契約の際に発生する税金です。土地の売却金額に応じて1~6万円程度と、税額が変わります。
抵当権の抹消とは、抵当権付き不動産を売却する際に必要な手続きのことです。ローンの返済が滞った場合、土地や建物を金融機関へ売却および返済金に充てられるのが抵当権付き不動産の特徴です。
仮に全額返済したとしても抵当権は残っているため、土地売却の前に抵当権の抹消手続きと手数料の負担が必要です。
土地によって売却に関する制限がある
被相続人の名義が残った土地や共有名義の土地、農地などを所有している時は、売却に手間と時間がかかる可能性もあり、注意が必要です。
土地を相続した際に被相続人から相続人へ名義変更していない場合、売却手続きを進められません。売却手続きは、法務局で所有権移転登記を行うと所有者を変更することが可能です。
一方、共有名義の土地を売却する際は、いくつかの方法を検討するのが大切です。
自身の所有している部分のみ土地売却を進める
分筆(共有名義の土地を分割し、それぞれの名義に分ける)したのちに売却
共有名義人の同意を得ることができれば土地を全て売却可能
特に手間がかかるケースは、農地の売却と言えます。売却の前に農業委員会へ農地の種類や売却可能かどうかといった点を確認してもらい、売却の許可を得る必要があります。また状況によっては、農地転用手続きを行ったのちに売却を進めることになります。
土地売却相場の確認方法
土地の売却相場は、査定依頼の他にもいくつか確認する方法があります。ここからは、土地売却相場の確認方法とそれぞれの特徴についてわかりやすく解説していきます。
いくつかの不動産会社へ査定を依頼し確認
前半でも紹介したように、複数の不動産会社に査定依頼をすることで、それぞれの会社から土地の査定価格を確認することが可能です。
その際に注意すべきポイントとしては、どのような不動産売買に特化しているのか、評判やレビューおよびサービス内容から確認しておくという点です。
ひと言で不動産会社と言っても得意としている分野には違いがあり、必ずしも土地の売買に慣れているわけではありません。そのため、相場より安い価格で査定されてしまうケースも考えられます。
査定依頼する時はサービス内容などを確認し、なおかつ複数の会社から提示してもらった内容を比較するのが重要です。
独自に土地の価格を調査
査定の前に土地価格の目安を確認したい時は、不動産ポータルサイトに掲載されている情報から推定する方法もあります。
不動産ポータルサイトとは、複数の不動産会社が公開している物件情報を集めたサイトのことです。中には土地の販売価格や基本情報も掲載されているので、売却予定の土地と似た物件情報から相場を計算できます。
ただし、土地の販売価格はあくまで売主が設定した価格なので、基準価格として考えてしまうと査定価格と大きく乖離してしまう可能性があることに注意しましょう。
地価を基準に計算
独自に計算したい場合は、固定資産税評価額や実勢価格、基準地価、公示地価などの地価から土地価格の目安を確認することが可能です。(地価:土地の価格)
公示地価は、地価公示法に沿って国土交通省が1年に1度公示している土地の価格を指しています。地価の中でも指標として用いられているのが特徴です。
そのため、他の地価は公示価格をベースに計算されています。
以下にそれぞれの地価を紹介します。
地価 | 概要 |
---|---|
実勢価格 |
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公示地価 | 土地総合情報システムの地価公示・都道府県地価調査、一般財団法人資産評価システム研究センターの全国地価マップから公示価格を確認することが可能 |
固定資産税評価額 |
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基準地価 | 都道府県が独自に調査し、土地総合情報システムの地価公示・都道府県地価調査、一般財団法人資産評価システム研究センターの全国地価マップから確認することが可能 |
路線価 |
|
公示価格から売却価格の相場を調べる際は、「公示地価 ×1.1倍の土地面積」が一般的だと言えます。なぜなら土地の売却相場は、公示価格に対して10~20%程度高い傾向にあるためです。
ただし地価から計算する場合、地価の調査時間と計算に手間がかかります。スピーディに土地の価格を確認したい時は、不動産会社へ査定依頼するのがいいでしょう。
太陽光発電用地として売却するには?
土地を太陽光発電用地として売却したい場合は、不動産会社ではなく、太陽光発電の売買仲介会社へ依頼するのがおすすめです。
中古太陽光発電の売買仲介会社は、低圧からメガソーラークラスにいたる太陽光発電所に関する売買契約や管理だけでなく、さまざまな種類の土地を太陽光発電用地として売り出すためのサポートも行っています。
以下記事では、太陽光発電用地の売却や注意点についてまとめています。気になる方は、ぜひ参考にしてみてください。
土地売却には土地の種類や目的に応じて相談先を検討しよう!
土地の売却を進める際は、まず売買契約に必要な資料や印鑑を揃えることから始めましょう。また不動産会社へ査定依頼する時は、少なくとも2~3社以上から査定結果を提示してもらうのが重要です。査定価格は不動産会社によってばらつく場合があるため、複数の結果から判断するのがおすすめです。
相場より安い査定価格で悩んでいる方や売却の難しい土地を所有している方は、今回の記事を参考にしながら太陽光発電用地としての売却を検討してみてはいかがでしょうか。
弊社とくとくファームでは、中古太陽光発電所の売買仲介に加えて、さまざまな種類・地目の土地を太陽光発電用地として売り出すサポートを行っています。農地や原野といった売却の難しい土地も査定いたします。また、太陽光発電用地なら一般的な不動産で需要の低い土地でも売却しやすく、なおかつ査定額アップも期待できます。
気になる方は、お気軽にWebフォームやお電話よりご相談ください。