風力発電の仕組みを知ろう!メリット・デメリットもご紹介

風力発電の仕組みを知ろう!メリット・デメリットもご紹介

風力発電は環境負荷の少ない発電方法として注目され、ヨーロッパをはじめとする多くの国で導入が進んでいます。日本でも風力発電の設置数が増え、再生可能エネルギーとしての認識が高まっています。しかし、風力発電について詳しく知っている人はまだ多くありません。

この記事では、風力発電の仕組みやメリット・デメリット、そして今後の展望について詳しく解説しますので、この機会に風力発電の魅力を知ってください!

風力発電の仕組み

風力発電は、風の力を利用して電気エネルギーを生成する仕組みです。風車のブレードと呼ばれる羽が風を受けると回転し、この回転運動を発電機に伝えることで電力が生み出されます。

風車と発電機の間には増速機が配置され、風のエネルギーを増幅させる役割を果たします。その増速機と発電機は、ナセルという風車の裏にある収納スペースに配置されています。ナセルには風向計や風速計が備わっており、風車が常に風上を向くよう制御されています。

風の強さは一定せず、風車の回転速度も変動するため、安定した電力供給が難しい特性が風力発電にはあります。加えて、風力発電で発電される電力は、火力、水力、原子力発電と同じ交流形式です。そのため、変換装置を介して電力を調整します。まず、発電された交流電力は順変換機(コンバータ)によって直流電力に変換されます。次に、逆変換機(インバータ)を通して再び交流電力に変換され、送電線に供給されます。この変換プロセスによって、風力発電からの電力供給の安定性が確保されます。

風力発電の種類

風力発電は、風車の形状や設置場所によって分類されます。

風車の形状による分類:水平軸風車

水平軸風車は、回転軸が地面に平行に配置されているタイプです。一般的なイメージで想像される風車は、水平軸風車に該当します。羽根の形状によってさらにプロペラ型、オランダ型、セイルウィング型、多翼型などに分類されます。

水平軸風車の欠点は、風が正面から吹かないと回転しづらいということ。しかし風車の裏にある収納スペースであるナセルが回転することで、常に風上を向くように設計されています。

風車の形状による分類:垂直軸風車

垂直軸風車は、回転軸が地面に垂直に配置されているタイプです。その形状は円柱状や台所用品のお玉に似た形をしています。羽根の形状によってクロスフロー型、サボニウス型、ダリウス型、ジャイロミル型などに分類されます。

さまざまな方向からの風でも回転する仕組みを持っているものの、発電効率の面では水平軸風車に劣ります。

設置場所による分類:陸上風力発電

陸上風力発電は、一定以上の風速の風が安定して吹いている広い土地、高原や峠、海岸沿い、半島の尾根などがあれば設置に向いているといえます。日本では北海道や東北、九州地方に多く設置されています。

設置場所による分類:洋上風力発電

洋上風力発電は、海上で風力発電を行う方式で、基礎を海底に固定する「着床式」と基礎を海底に固定せずに浮かべる「浮体式」の2つに分類されます。

特にヨーロッパでは、北海などの遠浅で風の強い海域において洋上風力発電が盛んに導入されています。日本でも福島県沖、千葉県銚子沖、長崎県五島列島などで洋上風力発電が進んでいます。

日本の海域は海底地形が急に深くなり、台風や地震が頻発するなどの厳しい条件がありますが、政府による実証実験が進められ、洋上風力発電のさらなる普及が期待されています。

風力発電のメリット

風力発電は、環境負荷が少ないという大きな特徴を持っています。その風力発電のメリットを紹介します。

温室効果ガス排出の低減

風力発電は再生可能エネルギーの一つであり、発電時に二酸化炭素(CO₂)などの温室効果ガスを排出しません。化石燃料を使用しないため、気候変動への貢献が期待できます。

無尽蔵のエネルギー源

風力発電は風を利用するため、風の供給は事実上無尽蔵です。一方、火力発電などの化石燃料は限られた埋蔵量しか存在しません。風力発電は資源の枯渇を心配する必要がなく、持続可能なエネルギー供給に貢献してくれます。

夜間でも発電の可能性がある

太陽光発電が日中の日光に依存するのに対し、風力発電は夜間でも発電が可能です。風が吹いていれば、連続して電力を生み出すことができます。

柔軟な設置場所

風力発電は陸上だけでなく、洋上にも設置することができます。洋上風力発電は風の強さが高く、風の変動が少ない利点があります。また、洋上では風車の規模を大きくすることができ、より高い発電効率を実現できます。

高効率なエネルギー変換

風力エネルギーは高効率で電気エネルギーに変換できます。特に大規模な風力発電施設では、発電コストを火力発電と同等、あるいはそれ以上に抑えることが可能です。技術の進歩により、より効率的な風力発電システムが開発されています。

これらのメリットにより、風力発電は環境にやさしいエネルギー供給手段として広く活用されています。

風力発電のデメリット

風が吹かなければどうにもならない風力発電のデメリットも紹介します。

発電量の不安定性

風力発電の最大のデメリットは、風の状況によって発電量が不安定であることです。無風の状態では風車が回らず、発電が行われません。一方、風速が強すぎる場合には発電施設が損傷するリスクがあります。

適切な設置場所の制約

一定以上の風が常に吹く適切な場所は限られています。風力発電施設の設置には特定の地形や地理条件が必要です。山間部や沖合など適切な場所に設置するためには、送電線の敷設などのインフラ整備も必要となります。

発電コストの課題

これは、風力発電の日本固有のデメリットなのですが、発電コストが高止まりしています。ヨーロッパでは大規模な風力発電施設によってコストを抑えることに成功していますが、日本ではまだ発電コストが高い状況が続いています。地元調整や施設の建設・運営に関わる諸経費の高さも課題として挙げられています。

環境への影響

風力発電施設の建設には、鳥類やコウモリなどの野生生物への影響も懸念されます。また、風力発電の風車の回転音や景観への影響も地域住民の間で問題となることがあります。

これらのデメリットにも対応しながら、風力発電の技術と運用方法の改善が進められています。

風力発電の現状と今後の展望

風力発電は、ヨーロッパでは既に主要な発電方法として大きなシェアを占めるようになっています。日本でも今後の導入拡大に向けて取り組みが進んでいますが、課題も存在しています。

日本の風力発電の導入状況と課題

日本は「エネルギーミックス」の目標の一環として、2030年までに電力の1.7%を風力発電にすることを目指しています。しかし、2017年時点ではその目標の34%にしか達していません。現在の日本の風力発電コストは、13.9円/kWhであり、世界平均の8.8円/kWhの約1.6倍となっています。風力発電の導入拡大には、新型風車の開発・運営に関わる総合産業の育成や、効率的なメンテナンス・保守運用体制の確立が必要です。

注目したい洋上風力発電

陸上の風力発電開発が進み、設置に適した場所が減少しているため、洋上風力発電が注目を集めています。しかし、一般領域の占用期間や海運業・漁業との調整など、海域利用に関する統一的なルールや枠組みが整っていないことが課題となっています。これらの課題を解決し、洋上風力発電の拡大をさるには、より予測可能なリスクや調整コストを考慮した適切な規制や協調の仕組みが必要です。

技術と運用の改善

風力発電のさらなる発展に向けて、技術と運用方法の改善が重要です。新しい風車の開発や高効率な発電システムの導入、効率的なメンテナンス体制の構築などが求められます。また、風力発電所の運用に関するデータ分析や予測技術の活用も進められています。

地域の連携と認知度の向上

風力発電の導入には地元住民や自治体との連携が必要不可欠です。地元の理解と協力を得るためには、情報発信や説明会などを通じた、風力発電の認知度の向上が必要です。地域の特性やニーズに合わせたプロジェクトの進め方や地元への還元策の検討も欠かせません。

国際的な協力と技術交流

風力発電の発展には国際的な協力と技術交流も重要です。他国の経験やノウハウを参考にしながら、国内外の研究機関や企業との連携を強化し、技術革新や最新の風力発電技術の導入を促進することが必要です。

これらの取り組みを通じて、日本における風力発電の導入拡大と持続可能なエネルギー社会の構築が進められることに期待したいところですね。

期待される風力発電の未来

風力発電は、環境への負荷の少なさと持続可能性から、持続可能なエネルギー社会を築く上で重要な役割を果たしています。風の力を利用して発電する仕組みは、CO₂排出を削減するだけでなく、風の恩恵に頼ることで資源の枯渇を心配せずに電力を供給できます。

ただし、風力発電にはいくつかの課題も存在します。発電量の変動や発電コストの高さなどがその一例であり、こうした課題に対しては技術の進歩や運用方法の改善が進められています。

日本では風力発電の導入が進んでいますが、目標達成にはまだまだ取り組むべき課題があります。特に洋上風力発電の拡大には、調整や規制の枠組みの整備が必要です。

風力発電は、持続可能なエネルギー供給と気候変動への対策において重要な選択肢となります。技術革新や地域との連携、国際的な協力を通じて、効率的かつ安定的な発電システムを確立し、持続可能な未来への貢献を進めることが求められています。

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