グリーン物流とは?背景や取り組みをわかりやすく解説

グリーン物流とは?背景や取り組みをわかりやすく解説

近年、企業は脱炭素経営へ転換していて、物流業界でも新しい動きが始まっています。グリーン物流とは、これまでの物流システムを改善させて二酸化炭素排出量の削減を目指す事業や取り組みのことです。

そこで今回は、グリーン物流とはどのような意味なのか、特徴や取り組みについて詳しく解説します。物流関連事業を展開している方などは、参考にしてみてください。

グリーン物流とは?

グリーン物流は、輸送などの物流システムで発生する二酸化炭素を削減するための取り組みを指します。

例えば、二酸化炭素排出量の少ない輸送方法へ切り替えるモーダルシフトなどもグリーン物流のひとつです。また国土交通省では、グリーン経営認証制度という運輸事業者を対象にした脱炭素経営の認定制度を実施しています。さらに、国主導で設立されたグリーン物流パートナーシップは物流業界における環境負荷低減を普及促進させる組織で、企業間の連携を深める場としても活用されています。

脱炭素経営が重視されている昨今、物流業界でも上記のような方法でエネルギー消費の削減、二酸化炭素の排出量削減などが求められています。

グリーン物流が必要とされる背景

続いては、グリーン物流が必要とされる背景について解説していきます。

環境問題の深刻化と世界的な脱炭素化

グリーン物流が必要とされている大きな理由は、環境問題の深刻化と世界的な脱炭素化です。

温室効果ガスによる地球の平均気温上昇といった気候変動問題は、年々深刻化しています。そこで世界各国は、京都議定書によって温室効果ガスの削減目標を定め、各産業の二酸化炭素排出量削減を促しています。

さらに、日本を含む世界では2050年のカーボンニュートラル目標が定められ、企業の脱炭素経営についても求められる状況へ変わりました。

そのため物流業界でも、グリーン物流および脱炭素経営といった点が特に重視されている状況です。

産業全体の中で物流部門のCO2排出量が多い傾向

国土交通省の資料によると、2021年度に国内で排出された二酸化炭素量は10億6,400万tです。うち17.4%もの二酸化炭素を排出しているのが運輸部門で、同部門の中でも特に自家用乗用車や営業用貨物車、自家用貨物車が半数以上を占めています。

また、旅客自動車貨物自動車は運輸部門の中で86.8%を占めているので、物流業界の二酸化炭素排出量削減も、脱炭素化および環境負荷低減において重要なポイントです。

しかし、経済活動の回復や増加に伴い運輸部門の二酸化炭素排出量は増加するため、事業活動を維持したまま二酸化炭素排出量を減らす「グリーン物流」を取り入れる必要があります。

出典:国土交通省ウェブサイト

グリーン物流に取り組むメリット

グリーン物流が重視されている理由を把握した後は、自社で行なうことのメリットについて確認していきましょう。

グリーン物流は、自社の企業価値や業務効率化という点でメリットの多い取り組みです。

脱炭素経営につながり企業価値アップを見込める

脱炭素経営とは、気候変動対策を軸にした経営のことです。国の脱炭素政策によって、企業は脱炭素を含む環境負荷低減に向けた取り組みや経営方針も求められています。

グリーン物流に取り組めば自社の二酸化炭素排出量を減らすことができるだけでなく、脱炭素経営にもつながります。また脱炭素経営を継続すると、脱炭素化を重視している企業や投資家、消費者からの評価アップを見込めるため、企業価値の向上も期待できます。

自社の業務効率化につながる

グリーン物流は、環境負荷低減だけでなく自社の業務効率化という点でもメリットがあります。

例えばトラックの燃料消費を抑えられれば、その分温室効果ガスの排出を削減できます。そこで考えられるのが、モーダルシフト(貨物自動車より環境負荷の低い輸送方法への転換)や燃費改善につながるタイヤ、車両の導入です。

モーダルシフトの鉄道や船舶などは、1度に大量かつ長距離輸送が可能です。また、低燃費タイヤ(エコタイヤ)の装着によって燃費を改善できるため、燃料コストの削減が見込めます。

さらに物流拠点の数を調整すれば、輸送距離や時間の短縮を実現することができ、また積載率の改善によって燃料消費の削減を目指せます。

グリーン物流のポイント

ここからは、グリーン物流へ取り組む際に押さえておくべきポイントを紹介します。

自社の課題や二酸化炭素排出量を見える化する

グリーン物流へ取り組むには、まず自社の二酸化炭素排出量を見える化し、どの業務で環境負荷が大きいのか分析しましょう。

具体的には、輸送方法や自社の事業部門などに区分しながら二酸化炭素排出量を計測、記録していくことが大切です。

標準的な二酸化炭素排出量の算定方法は、「燃料の使用量×CO2排出係数」という計算式で求められます。燃料使用量から計測できない場合は、いくつかの代替手法で定量化(数値で表すこと)ができます。

例えば、「輸送距離÷燃費×CO2排出係数」という計算や「輸送量×改良トンキロ法CO2 排出原単位または従来トンキロ法CO2 排出原単位」という方法で二酸化炭素排出量を算定することが可能です。(※改良トンキロ法CO2 排出原単位:燃料の種類、積載量などから算出された単位。従来トンキロ法CO2 排出原単位:輸送機関ごとに定められたCO2に関する単位)

部門ごとに連携しながら全社で取り組む

自社の二酸化炭素排出量を算定した後は、トップダウン形式で部門ごとの連携を推進させながら全社で取り組んでいきます。

グリーン物流の取り組み方法そのものは次世代技術を用いたものではなく、既存の業務効率化と共通した内容です。しかし、部門や部署単位で独自に計画・実行できる範囲ではないため、事業者がリーダーシップを発揮して取り組んでいかなければいけません。

また状況によっては、取引先企業と連携することで効率的に二酸化炭素排出量を削減できる場合があります。例えばグリーン物流パートナーシップ会議へ参加すれば、物流事業者間のグリーン物流に関する取り組みを連携する上で役立ち、また積極的に交流の場を増やすことが可能です。

取り組みの効果分析と改善を繰り返す

グリーン物流の計画策定から実施までを行なったら、次に二酸化炭素排出量の削減効果や輸送コスト、業務の効率化に関する目標達成状況を確認し、改善点を見つけましょう。

改善点を見つけるためには、見える化が必須です。

つまり、環境負荷に関する課題や二酸化炭素排出量などを定量化(数値化)する必要があるということです。また効率的な分析や改善作業には、部門間の連携も欠かせません。

グリーン物流で成果を出すには派手なプロジェクトではなく、社内での連携や地道な分析作業が重要と言えます。

グリーン物流の取り組み例

グリーン物流を始めるにあたって、何をすればいいのかわからない企業も多いかと思います。

そこでここからは、グリーン物流の取り組み例を紹介します。

モーダルシフト

モーダルシフトとは、トラックなどで行なわれている貨物輸送を別の方法へ切り替える取り組みのことです。

代表的な切り替え先は、鉄道や船舶といった輸送方法です。一般的に船舶、鉄道などの輸送機関は1回の積載量が大きく、トラックよりも輸送コストやエネルギー消費量という点でもメリットが大きいという特徴を持っています。

また二酸化炭素排出量は、トラックの数分の1程度まで削減できます。

共同配送による車両台数の削減

業務効率化にもつながるグリーン物流のひとつが、共同配送という方法です。

既存の物流は、各企業で独自に流通ルートを確立して輸送業務を行なっています。しかし、このような方法では輸送コストがかかるだけでなく、多数の車両を使用しなければいけません。

共同配送は、企業間で配送業務を共同で行なう仕組みです。例えば、関東から関西までの配送を複数社で連携すれば、1社の輸送コストを減らせる上に車両の稼働率を抑えられるので、二酸化炭素排出量削減にもつながります。

輸送拠点の集約

自社で取り組めるグリーン物流といえば、輸送拠点の集約です。

各地域に分散している輸送拠点を集約することで、車両台数の削減や輸送拠点の維持管理コスト、その他の負担を軽減できるだけでなく、二酸化炭素排出量の削減効果を得られます。二酸化炭素排出削減効果のほかに、人件費や物流拠点の管理負担なども抑えられるのが強みです。

複数の輸送拠点を所有している企業や配送網の見直しを図っていない企業は、この機会に輸送拠点の集約について検討してみてはいかがでしょうか。

グリーン物流において太陽光発電が役立つ理由

グリーン物流へ取り組む際は、太陽光発電を併用してみるのもおすすめです。

そこで最後は、グリーン物流において太陽光発電が役立つ理由を紹介します。

輸送拠点の二酸化炭素排出量を直接削減可能

太陽光発電を導入すると、輸送拠点の消費電力を削減することが可能になります。

輸送拠点や倉庫は大規模な施設で、なおかつ照明や空調などを長時間稼働しています。また、冷蔵や冷凍設備は常時稼働させなければ食材や食品などの品質にも関わるため、簡単に調整できない部分です。

そこで太陽光発電で発電した電気を自家消費すれば、消費電力量を抑えずに買電量(電力会社からの電力購入量)を削減できます。また、通常どおりの稼働状況で電気代を削減できるため、節電よりも効率的に負担を減らすことが可能です。

さらに火力発電由来の電力購入量をも少なくなるので、結果的に二酸化炭素排出量の削減につながり、太陽光発電による脱炭素経営をアピールできます。

EVトラックへ再エネ電力を供給し電気代とCO2を削減

EVトラックを導入する場合は、太陽光発電との併用で電気代をさらに減らすことができます。

EVトラックは、二酸化炭素排出量削減にとってメリットのある車両です。しかし、充電する必要があるため電気代の負担がかかります。これに加えて電気代の値上げや燃料費調整額高騰による負担増加が続けば、維持管理を続けるのが難しい状況へ陥ってしまいます。

そこで太陽光発電を設置すれば、発電した電気をV2Hなどの設備を通じてEVトラックへ充電することが可能になります。また、充電にかかる間接的な二酸化炭素排出も削減できるため、脱炭素経営につながる組み合わせだと言えます。

グリーン物流は物流業界の脱炭素化!

グリーン物流は、物流業界における環境負荷低減を目標とした取り組みを指しています。物流拠点の集約やモーダルシフトなどといった方法が、主なグリーン物流の取り組みです。

物流業務における二酸化炭素排出量に悩んでいる企業は、今回の記事を参考にしながらグリーン物流に取り組みつつ、太陽光発電の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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