太陽光発電の全量自家消費とは?切り替え方法についても解説

太陽光発電の全量自家消費とは?切り替え方法についても解説

FIT制度の固定買取価格下落や規制強化によって、太陽光発電の運用方法について気になっている方も多いのではないでしょうか?全量自家消費は、個人や法人どちらでも導入可能な方式で、一切売電しないという点が大きな特徴です。

そこで今回は、全量自家消費型太陽光発電の特徴やメリット・デメリットについて分かりやすくご紹介します。太陽光発電の売電以外について関心を持っている方や全量自家消費型太陽光発電のメリットやデメリットを理解した上で切り替えを検討したい方は、参考にしてみてください。

全量自家消費型太陽光発電とは何?

全量自家消費型太陽光発電とは、発電した電気を電力会社へ売電しない方式のことです。自家消費は、自宅やオフィス内で電気を消費するという意味です。全量は「全ての」という意味なので、発電した電気を全て自家消費していく運用方法を指しています。

全量自家消費型太陽光発電の活用方法

全量自家消費型太陽光発電の概要を把握したあとは、具体的な活用方法について確認していきます。全量自家消費型太陽光発電は、さまざまな場所で活用できる将来性の見込める設備です。

エコキュートや電気自動車へ供給

住宅用太陽光発電を設置している方は、自宅の照明設備や各部屋のコンセントへ発電した電気を供給できます。また、エコキュートを設置している場合は、エコキュートの追い炊きや湧き上げなどに伴う電力を太陽光発電でカバーできます。

さらに電気自動車を所有している個人や企業の場合は、V2Hを設置することによって、太陽光発電で発電した電気を電気自動車へ供給することが可能です。V2Hは、電気自動車の充電や給電の際に自動で交流・直流変換してもらえる設備です。

電気自動車は直流電気で稼働するので、太陽光発電の交流電気をV2Hで直流へ変換する必要があります。

自社のオフィスや工場の照明設備などで自家消費

自社ビルや工場などを所有している企業は、照明設備や自動ドア、暖房・冷房機器、生産設備などの電源として太陽光発電を使用することが可能です。

たとえば、イオングループやセブン&アイグループ、製造業の太陽ホールディングスなどの国内企業では、全量自家消費型太陽光発電の設置を行っています。発電した電力は、生産設備や店舗の照明などへ供給されるようです。

遠隔地に設置した太陽光発電を自己託送し自家消費

自社の敷地に太陽光発電を設置できない場合は、自己託送制度を活用して全量自家消費に取り組むことが可能です。

自己託送制度は、東京電力などの大手電力会社(一般送配電事業者)で管理運用されている送電設備を活用して、遠隔地から自社の建物へ送電してもらえるサービスを指しています。

また、太陽光発電で発電した電気を自己託送することによって、どこでも自家消費することが可能です。なお、自己託送には送配電網の利用料がかかります。

ソーラーシェアリングで農業用設備へ電力供給

専業農家や兼業農家の場合は、ソーラーシェアリングを設置し、全量自家消費することによって農業用設備や機械の電気代を削減できます。

ソーラーシェアリングとは、農地の上に太陽光パネルを設置する設備のことです。一般の太陽光発電設備とは異なり農作物に傷をつけないよう、高さのある架台を設置するのが特徴です。

全量自家消費型のソーラーシェアリングで発電した電気は、農業用機械、ビニールハウス内の計測装置や水耕栽培装置などへ供給できます。また、太陽光発電の発電量によっては、年間の電気代を数10%程度削減できます。

全量自家消費型太陽光発電への切り替えメリット

ここからは、全量自家消費型太陽光発電へ切り替え・導入するメリットを紹介します。

固定買取価格に左右されずに済む

売電型の太陽光発電とは異なり、固定買取価格の下落傾向に左右されずに済みます。売電型太陽光発電で収支バランスを維持するには、FIT制度の固定買取価格が重要なポイントです。しかし、固定買取価格は毎年下落傾向で改定されているため、発電事業者にとって厳しい環境といえます。

一方、全量自家消費型太陽光発電は、そもそも売電収入を軸としない事業モデルなので、固定買取価格に左右されません。

FIT制度の認定に関係なく運用可能

FIT制度の認定を受けずに発電できるのは、全量自家消費型太陽光発電ならではのメリットといえます。固定買取価格で売電を行うためには、FIT制度の認定が必要です。さらに審査の通過まで待たなければいけないという点が、売電型の特徴です。

全量自家消費型太陽光発電は売電を行わないため、FIT認定を受けずに始められます。また、FIT制度の申請手続きの手間を省けるため、スムーズに準備を進められます。

電気料金負担の削減に注力できる

電気料金の削減効果へ力を注ぐことができるのは、全量自家消費型太陽光発電の強みです。2022年1月~5月の電気料金は、国際情勢の大きな変化や円安相場などの影響から毎月上昇しています。

一方、売電型の太陽光発電では、FIT制度によって1kWhあたりの買取単価は変わりません。また、卒FIT者向けの買取サービスも基本的に買取単価が変わらない状況です。

買取単価が上がらなければ、毎月の固定費負担をカバーしきれない可能性もあります。

全量自家消費型太陽光発電の場合は発電した電気を自家消費するため、電力会社からの電力購入量を減らすことが可能です。そのため、売電収入でカバーする運用方法より、効率的に固定費を抑えられます。

企業の場合は環境価値のアピールを行える

全量自家消費型太陽光発電を導入する企業は、ステークホルダーへ環境価値をアピールすることが可能です。(ステークホルダー:取引先や株主、消費者など)

昨今、世界的に脱炭素化、カーボンニュートラルへ向けた事業活動が求められています。太陽光発電で自社の設備をまかなっていることを取引先、消費者へ伝えることは、企業イメージアップ、取引先の増加、取引の安定などにつながります。

非常用電源として活用できる

全量自家消費型太陽光発電は、災害時などに非常用電源として活用できます。また、BCP対策を作成している企業にとってもメリットがあります。

住宅用太陽光発電を設定している住宅では、停電時にIHクッキングヒーターや照明、エコキュート、コンセントから冷蔵庫や電子レンジなどを稼働させることが可能です。さらにラジオやスマートフォンの充電を行えるようになり、避難情報などを随時取得できます。

企業の場合は、パソコンや生産設備などを稼働させることで、データの保護をはじめ事業活動の早期再開へつなげることが可能です。

全量自家消費型太陽光発電への切り替えデメリット

続いては、全量自家消費型太陽光発電のデメリットについて紹介します。

収支の考え方が売電型と異なる

収支の考え方は売電型と異なるため、混同しないよう気を付ける必要があります。売電型太陽光発電は、初期費用の返済や維持管理費用を売電収入でまかないます。また、各費用へ充てたあとに残った収入が、利益として手元に残る仕組みです。

全量自家消費型太陽光発電は、発電した電気を自家消費することによって電気料金の負担を減らします。初期費用の返済や維持管理費用は、毎月の電気料金に充てていた予算でまかなう仕組みです。

副収入が欲しい方や売電収入で利益を増やしたい企業の場合は、売電型を含めて検討した方がいい場合もあります。

効率よく電気を活用するには制御機器が必要

全量自家消費型太陽光発電で発電した電気を効率よく活用するには、専用の制御機器が必要です。

制御機器を設置せずに運用した場合、逆潮流防止機能によって頻繁に発電と停止が繰り返されます。逆潮流防止は売電をさせないための機能で、消費電力量より発電量が上回ると発電を停止させます。

何度も太陽光発電の停止と起動が繰り返されると、制御部品の摩耗や劣化につながってしまいます。そこで消費電力量に合わせて発電能力を自動調整してもらえる制御機器が、効率的な運用を行う上で重要なポイントです。

ただし、制御機器の導入によって初期費用の負担は増えるため、予算とのバランスを考慮する必要があります。

蓄電池と併用しなければ効率的な運用が難しい

初期費用負担は増えるものの蓄電池の導入が、効率的な運用を進める上で重要です。1日の消費電力量は、個人や企業で大きく異なります。また、消費電力の多い時間帯や少ない時間帯は、事業形態や個人の生活スタイルによって変わります。

全量自家消費型太陽光発電単体では電気を貯めることができないため、夜間や早朝、夕方など発電量の少ない・0の時間帯に自家消費できません。一方、蓄電池を併用しておけば、消費電力の少ない時間帯に電気を貯めて、多い時間帯に自家消費することも可能です。

しかし、蓄電池の導入費用が上乗せされるため、初期費用の返済負担が増えてしまいます

太陽光発電と蓄電池の導入を検討する際は、総額の初期費用を計算し、費用回収に何年かかるのか販売店や施工会社へ1つ1つ確認するのが大切です。

売電型と同じく初期費用の返済が必要

全量自家消費型太陽光発電の初期費用は数100万円以上かかるため、一般的に融資を受けて設備の購入や設置工事の依頼を行います。

また、融資の返済を計画的に行う必要があるので、毎月の返済額や利息負担、初期費用回収まで何年間かかるのか1つずつ計算・確認するのも重要です。

全量自家消費型太陽光発電の場合は、自家消費によって浮いた固定費や環境経営へシフトしたことによって得た利益などで返済していく方法が考えられます。

メンテナンスや交換費用などがかかる

太陽光発電は、運用方式にかぎらずメンテナンス費用がかかります。また、太陽光パネルやパワーコンディショナなど各機器や部材は経年劣化するので、定期的に部品交換や修理が必要です。

全量自家消費によって浮いた固定費の一部は、維持管理費用へ充てるのが大切です。固定費でカバーできない場合は、本業の収入や別の事業で得た利益で維持管理費用を負担する必要があります。

全量自家消費型太陽光発電へ切り替えるには

全量自家消費への切り替えには、自家消費用のパワーコンディショナを含む自家消費ユニットの導入・設置工事が必要です。

自家消費用ユニットは、消費電力量を予測した上で発電能力の調整を行い、発電された電気を各コンセントや照明設備、生産設備などへ供給する仕組みです。

全量自家消費型への切り替え工事は、全量自家消費専門の施工・販売業者へ相談することで対応してもらえます。なお、住宅用太陽光発電向けの自家消費ユニットは、太陽光パネルメーカーで生産・販売しています。

全量自家消費型太陽光発電の補助金制度は実施されている?

国の補助金制度や支援制度の中には、全量自家消費型太陽光発電向けの制度が含まれています。

「中小企業経営強化税制」は、全量自家消費型太陽光発電を含む生産設備関連の導入時に即時償却もしくは税額控除といった制度を受けられます。

  • 即時償却:設備購入年度に導入費用を全額減価償却できる
  • 税額控除:設備の設置費用にかかる税額を最大10%控除

他にも「ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」は、全量自家消費型太陽光発電や省エネ機器に関する企業向けの補助金制度です。

個人向けの全量自家消費型太陽光発電に関する国の補助金制度については、確認できませんでした。

ただし、自治体によっては実施している可能性もあるので、自治体HPや窓口から確認してみるのが大切です。

太陽光発電の全量自家消費は将来性のある運用方法!

全量自家消費型太陽光発電は、脱炭素社会に合った運用方法です。発電した電気を全て自家消費できるため、電気代削減効果を伸ばせます。また、企業の場合は、環境価値をステークホルダーへアピールすることで、企業価値アップにつながります。

環境経営へシフトしたい方や太陽光発電で電気代の削減を行いたい方は、今回の記事を参考に全量自家消費型太陽光発電について検討してみてはいかがでしょうか?

なお、今から売電収入で利益を増やしたい、副収入が欲しいという場合は、新規設置より中古太陽光発電で売電を始めるのがおすすめです。

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