日本で太陽光発電が普及しない/普及させるためには何が必要?

日本で太陽光発電が普及しない/普及させるためには何が必要?

昨今、世界的なSDGsへの理解と再生エネルギーのひとつとして太陽光発電への関心が高まっています。しかし、実際にはご家庭単位での普及率は低く、日本ではまだまだ需要は高くありません。太陽光発電を普及させるためには何が必要なのでしょうか?今回は日本で太陽光発電が普及しない理由と、普及させるために必要なことを解説していきます。

日本で太陽光発電が普及しない理由

日本で太陽光発電が普及しない理由

世界的に再生エネルギーや代替エネルギーが注目を集めるなか、日本国内における家庭向けの太陽光発電の普及率はまだまだ高くありません。なぜ日本では太陽光発電の普及が進まないのでしょうか?ここでは普及しない理由を解説していきます。

1.コストが高い

太陽光発電が普及しない理由のひとつとして挙げられるのは、コストの問題です。初期費用の相場ですが、本体価格と設置工事費を合わせて200万円程度とされており、高額であることがわかります。また、太陽光発電は故障を回避するために定期的なメンテナンスが必要です。そのため、メンテナンス費用がかかります。また、設備故障が発生した場合の修繕費も考慮すると、太陽光発電にかかるコストは安くありません。

2.売電価格の低下

ふたつめの理由として、売電価格の低下が挙げられます。そもそも「売電」とは太陽光発電で生産された電力をご家庭内で使い切れなかった場合、電力会社へ電気を売ることができる仕組みです。売電価格は2009年に1kWhあたり48円でしたが、2019年には1kWhあたり24円となっています。

そのため、売電収入のみで考えると以前に比べて売却利益が少ないと感じてしまう人もいるでしょう。太陽光発電は投資目的で導入している人が多く、初期投資の回収と利益を考慮すると「損してしまうかもしれない」と感じる可能性があります。

住居環境の影響

住居環境の影響も普及しない理由のひとつです。太陽光発電の設置自体は、基本的にどんな住宅でも設置が可能です。しかし、以下のような住居環境では設置が難しい場合があります。

  • 住宅同士が密接している
  • 太陽光があまり当たらない物件
  • 景観を損ねるなどの近隣住民から不満が出る可能性がある場所

上記のように住居環境の影響も普及しない理由となります。

自然環境の影響

日本は自然災害の多い国です。そのため、設置を検討した地域において自然災害が多い場合、太陽光発電の設置を行なわない判断をする人も少なくありません。日本は台風や地震が多い国です。そのため自然災害が発生した場合、太陽光発電の設備が損傷してしまう危険性があります。

自然災害による修繕費は非常に大きなコストがかかるため、あまり進んで設置をするご家庭は多くありません。災害リスクが太陽光発電の普及しない理由となっています。

【日本と世界】太陽光発電普及率の違い

【日本と世界】太陽光発電普及率の違い

ここでは、日本と世界における太陽光発電の普及率の違いをご紹介していきます。また、他国での太陽光発電の普及状況から日本が学ぶべき点について解説していきます。

日本と世界の普及率の違い

世界における太陽光発電の導入量は以下のデータで確認することができます。

  • 1位 中国(54.9GW)
  • 2位 アメリカ(26.9GW)
  • (3位) EU(26.8GW)※EU全体としての導入量
  • 3位 インド(13GW)
  • 4位 日本(6.5GW)
  • 5位 ブラジル(5.5GW)
  • 6位 ドイツ(5.3GW)

参照:国際エネルギー機関(IEA)

日本は世界で4番目の導入量です。「普及していない」というのはイメージだけなのかもしれません。また、上位ランクの中国やインド・アメリカは国土も広いため、導入量が多いのはいわば当然とも言えます。国土の小さな日本が世界で4位に入っているということは、普及していないわけではないと捉えられます。

ドイツの太陽光発電の問題点から学ぶ

ドイツは再生可能エネルギーの先進国であり、ドイツ国内の総発電量における再生可能エネルギーの割合は40%近くを占めています。しかし、太陽光発電については「失敗」と言われているのです。ドイツの太陽光発電が失敗であるといわれる理由として挙げられるのは、エネルギー供給が不安定であること、インフラ投資や固定化した価格で買い取る制度(FIT)による財政状況の悪化です。以上の理由を背景として、ドイツでは実際に太陽光発電を主力の電力源とする姿勢から距離を取るようになっています。

エネルギー供給の不安定さと、多大なコスト、という2点は、日本における太陽光発電の課題とも共通しているものです。つまり、太陽光発電の失敗といわれる事例においてドイツがどのような対応をしたのか、という点で参考にすべきことは多々あるといえます。

ただし注意したいのは、ドイツの事例が単なる失敗ではなく、太陽光発電の特徴を踏まえながら、課題点に対応しているということです。この対応策において、日本において太陽光発電を普及させていくためのヒントがあります。

まずエネルギー供給の不安定さについては、太陽光発電をベースの電力源とするのではなく、日中に最大出力となる持ち味を生かして、ピークの需要を賄う電力として運用している点が重要です。太陽光発電において日照時間に左右される側面を理解しながら適切に活用しており、日照時間に依存するという太陽光発電への批判をうまく解消しているといえるでしょう。

また、FITでの買取価格を低くしているという点が参考となります。これは買取価格の高騰が、太陽光発電の普及や技術促進に必ずしも寄与するものではない、ということが背景に挙げられるでしょう。例えば、電力の買取価格が高騰すれば、設備投資へのコストは低いものの方が利益率はよくなります。一方で、低コストの発電設備が普及することは、太陽光発電の技術的な進歩とは逆行するものとなってしまうのです。こうした背景からドイツでは、売電収入を目的とした投資向けの太陽光発電にかかる投資をやめることとなりました。

では、以上のようなドイツにおける太陽光発電の問題点と対応策を踏まえながら、日本において太陽光発電を普及させるために必要なことは何があるのでしょうか。

太陽光発電を普及させるために必要なことは?

太陽光発電を普及させるために必要なことは?

ここから、ドイツでの太陽光発電に関する事例を参考にしながら、実際に日本において太陽光発電を普及させるために何が必要であるのか、具体的な方策について考えていきましょう。

売電よりも自家消費をメインに

まず太陽光発電を、自家消費の用途で活用していくことが重要です。自家消費を目的とした太陽光発電では、災害時にも発電することができ、防災に向けた備えとして用いることができます。また、適切なメンテナンスを行い長期的に活用することができれば、電気代の節約にも役立つでしょう。

これまでは売電収入を目的とした活用方法に焦点が当たりがちでしたが、売電価格が低下している現在において、売電による太陽光発電のメリットは小さくなっています。一方、自家消費をメインの用途として活用していくことで、売電による太陽光発電の運用以上のメリットを享受することができるのです。

以上から、自家発電をメインの用途とすることによって、太陽光発電の普及は促されていくといえます。

蓄電池との併用

自家消費を目的として太陽光発電を活用していく際には、蓄電池との併用に留意しておく必要があります。蓄電池を併用することによって、日中に発電した電力を用いるという用途以上に多くのメリットを享受することができるのです。たとえば、日中に発電した電力を蓄え、日没後電力を使用することができます。あるいは、余裕のある分を売電する、といった手段も選択肢として挙げられるでしょう。このように蓄電池を活用することには、電気代の節約はもちろん、状況に応じて売電による収入を得るという使い分けでの用途選択することができるなど、多くの経済的なメリットがあるのです。

また蓄電池との併用で太陽光発電を活用し、自家消費をメインの用途で用いていくことで、再生可能エネルギーの普及にも貢献することができます。太陽光発電を自家消費の用途で活用していくことで、火力発電などの環境に良くない方法で発電された電力に依存する割合を減らすことが可能となります。

世界的な動向として環境問題に関心が高まっているなかで、火力発電の割合を減らしていく流れが進んでいく可能性があると言えます。その際、火力発電など現在の主要発電に代わる手段として、太陽光発電の需要は高くなっていくのではないでしょうか。

以上のように、太陽光発電で蓄電池を併用することによって、経済的にも、環境への配慮についてもメリットを享受することができるのです。蓄電池の併用によるメリットがより広く認識されることで、太陽光発電の普及が進んでいくでしょう。

初期費用/メンテナンス費用の確保

太陽光発電を活用して多くのメリットを享受するために、太陽光発電の設置にかかる様々なコストを把握し、資金を確保しておくことも必要です。ただし、太陽光発電にかかるコストは非常に大きいため、太陽光発電の導入自体に躊躇してしまう人が多いかもしれません。

もちろん、短期的に見た場合には多大な費用がかかるために、太陽光発電を活用することのメリットが魅力的に見えないことはあるでしょう。しかし、長期的に見た場合には、初期投資やメンテナンス費用にかかるコスト以上に多くのメリットを得ることができます。

長期的な太陽光発電のメリットを理解する際に、太陽光発電の設備の設置にかかる初期費用や、定期的なメンテナンス費用を把握しておくことが重要となります。

まとめ:太陽光発電の普及はこれから

まとめ:太陽光発電の普及はこれから

この記事では、日本において太陽光発電をより普及させるために必要なことについて説明してきました。太陽光発電が普及しない理由が多くある一方で、大きなメリットを得られるものであることが確認できたと思います。

インターネット上には、太陽光発電に対するネガティブな意見も多く見受けられます。週刊誌で取り上げられたことで、「7割が損」をするというイメージも広まってしまっており、太陽光発電をやめておこうと考える人も多いのではないでしょうか。しかし、太陽光発電について慎重に考えていけば、多くのメリットを得られるものであることがわかります。メリットが十分に周知されるようになれば、太陽光発電の普及は進んでいくと考えられます。

世界的な動向を踏まえても、今後太陽光発電の需要は高まり、太陽光発電を導入する機運は高まってくるでしょう。

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