工場立地法とは何?太陽光発電との関係性についてどこよりもわかりやすく解説

工場立地法とは何?太陽光発電との関係性についてどこよりもわかりやすく解説

工場や倉庫など特定の施設を建設する場合は、工場立地法に沿って敷地内の設計などを行う必要があります。また工場の敷地内に太陽光発電を設置することは、工場立地法の観点からメリットの多い選択でもあります。

そこで今回は、工場立地法の規制内容や手続き、太陽光発電設置のメリットや注意点について詳しくご紹介します。工場や倉庫の建設を検討している方や工場立地法と太陽光発電の相性について気になっている方などは、参考にしてみてください。

工場立地法の特徴

まずは、工場立地法の特徴について確認していきましょう。

公害対策や緑化に関する法律

工場立地法は、1973年に制定された環境破壊を止めるための法律です。法律の主な目的は、環境保全を保ちつつ工場の立地が進み、なおかつ経済の健全な発展および福祉の向上とされています。

1970年代の日本は高度経済成長期に入っている一方で、深刻な公害問題も抱えていました。また水質汚染などの影響で水俣病などの病気も発生し、健康な生活を送ることができない方も出てきている状況でした。

そこで国は工場立地法を制定し、工場の敷地面積に関する制限、環境施設の設置義務、その他罰則規定などといった規制を定めたという経緯があります。

工場立地法の対象

工場立地法を遵守しなければいけない工場は、以下の2点を満たすケースです。

  • 製造業やガス、電気、熱の供給事業者
  • 規模敷地面積が9,000㎡以上 もしくは 建築面積が3,000㎡以上の工場

なお、水力、地熱発電所、太陽光発電所は、「製造業やガス、電気、熱の供給事業者」に該当しません。また後半で解説しますが、特に太陽光発電は工場立地法においてメリットの多い設備です。

届出先は管轄の自治体

工場を新たに建設する場合は、工場立地法に沿って必要書類を作成し、指定の機関へ届け出なくてはいけません。届け先は管轄の自治体で、原則として工事着工から90日前までに提出します。

なお工場の新設だけでなく、工場で生産されている製品の変更や敷地面積、建築面積、生産施設面積、緑地や環境施設の面積および配置の変更時にも届出が必要です。

一方、生産施設の撤去や環境施設の増加といった特定の変更や撤去の際は、自治体への届出が不要とされています。それぞれに細かい条件が定められているので、自治体窓口で確認を取りながら手続きや準備を進めましょう。

工場立地法の要件

工場立地法の対象業種に該当した場合、法律に定められた規制をクリアする必要があります。ここからは、工場立地法の規制内容および要件についてわかりやすく紹介していきます。

生産施設の要件

生産施設を建設する際は、敷地面積に対する生産施設の面積に関する規制を守らなければいけません。以下に生産施設の面積に関する要件を紹介します。

業種の区分 生産施設の種類
敷地面積に対する生産施設の面積の割合
第一種 化学肥料製造業のうちアンモニア製造業及び尿素製造業、石油精製業、コークス製造業並びにボイラ・原動機製造業 敷地面積に対して30%まで
第二種 伸鉄業 敷地面積に対して40%まで
第三種 窯業・土石製品製造業(板ガラス製造業、陶磁器・同関連製品製造業、ほうろう鉄器製造業、七宝製品製造業及び人造宝石製造業を除く。) 敷地面積に対して45%まで
第四種 鋼管製造業及び電気供給業 敷地面積に対して50%まで
第五種 でんぷん製造業、冷間ロール成型形鋼製造業 敷地面積に対して55%まで
第六種 石油製品・石炭製品製造業(石油精製業、潤滑油・グリース製造業(石油精製業によらないもの)及びコークス製造業を除く。)及び高炉による製鉄業 敷地面積に対して60%まで
第七種 その他の製造業、ガス供給業及び熱供給業 敷地面積に対して65%まで

「工場立地に関する準則」(経済産業省)を元に表を作成

特に規制の厳しい業種は第一種で、敷地面積に対して生産施設の面積を30%までに抑えなくてはいけません。なお生産施設の面積に関する割合と上限は、全国共通とされています。

工場を建設する際は、経済産業省や管轄の自治体へ該当している業種について確認を取ってもらうのが大切です。

環境施設は敷地面積の25%以上

工場立地法の規制対象とされた場合は、環境施設を生産施設と同じ敷地内に建設する必要があります。

環境施設とは、景観の面で整備されている施設や防災対策の推進されている施設、健康および教養の向上につながる施設のことです。具体的には、太陽光発電所や運動場、自社の歴史などを集めた博物館、噴水などの修景施設を指しています。(修景施設:景観を保つ施設)

敷地内に環境施設を配置する際は、敷地面積に対して25%以上の面積で設計・施工しなければいけません。

緑地は敷地面積の20%以上

生産施設の敷地には、緑地を設ける必要もあります。また緑地を配置する場合は、敷地面積に対して20%以上の面積を確保しなければいけません。工場立地法における緑地とは、樹木だけでなく花壇や芝などのことです。植物や樹木の種類に指定や制限などはありません。

植物などの配置場所については、地面だけでなく建物の屋上も認められています。さらに建物全体を緑化することも可能です。

工場立地法に反した場合は?

工場立地法に違反した場合は、内容に応じた罰則を受けることになります。罰則の内容は、以下のとおりです。

違反行為 罰則
届出を行わないなど 6ヶ月以下の懲役もしくは50万円以下の罰金
制限期間を違反しながら特定工場を新たに建設、製品や建物の変更を行う 3ヶ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金
工場立地法に定められた報告を行わない、虚偽の報告を行う場合 20万円以下の罰金
氏名といった情報を変更する際に届出や承継を違反する 10万円以下の過料

「工場立地法」(経済産業省)をもとに表作成

努力義務ではないので、厳しい罰則規定が設けられています。工場立地法に沿って工場の新設や変更を行う場合は、施工業者や自治体に確認を取りながら必要書類の準備や提出を行いましょう。

工場立地法における太陽光発電の取り扱い

前段で紹介したように、太陽光発電は環境施設としてみなされています。そのため環境施設を建設する際は、太陽光発電を導入することで規制をクリアすることが可能です。

また太陽光発電は、敷地の形状や面積に合わせて太陽光パネルの設置枚数、設備の形状などを調整しながら設計・施工できます。環境施設の種類や導入方法について悩んでいる時は、太陽光発電を検討してみるのがおすすめです。

工場立地法へ対応上で太陽光発電を導入するメリット

工場立地法に沿って工場を建設する場合は、環境施設として太陽光発電を導入するのがおすすめです。太陽光発電は、運動場などと異なり複数のメリットを得ることができます。ここからは、工場立地法へ対応する際に太陽光発電を導入するメリットを1つずつ確認していきましょう。

重複緑地として認められる

太陽光発電は、重複緑地として一部認められているのがメリットです。たとえば、緑化としてみなされている芝生の上に太陽光発電を設置した場合、芝生と太陽光発電の面積を、緑化と環境施設の面積に算定できます。

太陽光発電の設置されている土地も「芝生=緑化の面積」として計上できるため、環境施設や緑化の面積に関する規制をクリアしやすい状況といえます。

ただし重複緑地として認められるのは一部なので、慎重に算定するのが大切です。

脱炭素経営やCSRにつながる

太陽光発電は、脱炭素経営やCSR(企業の社会的責任)活動につながります。脱炭素経営に向けた取り組みを始めたい事業者にとっては、大きなメリットといえます。

運動施設や広場、修景施設は、複雑な設備を導入せずに済みます。ただし脱炭素経営という点では、二酸化炭素排出量削減効果を期待できません。

太陽光発電の場合は、二酸化炭素排出量を抑えながら発電を始められますし、脱炭素効果を得られます。また、二酸化炭素の削減効果を活用してCSR活動につなげれば、投資家や取引先、消費者からの信頼を高められます。

電気料金を直接削減できる

全量自家消費型太陽光発電は、電気料金を直接かつ大幅に削減できます。全量自家消費型太陽光発電とは、発電した電気を全て自社の工場やオフィスなどで使用する運用方式のことです。売電型と異なり、電気料金削減効果を伸ばせるのが強みです。

太陽光発電以外の環境施設については、電気料金の削減効果を得られません。また省エネ設備への交換や節電活動は電気料金を削減できるものの、大幅な削減効果を得にくいといえます。

弊社和上ホールディングスで施工・保守管理させていただいたケースでは、年間100万円や800万円以上の電気料金削減効果を得たケースもあります。

全量自家消費型太陽光発電の電気料金削減効果を詳しく知りたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。

設備導入時に低金利な融資を受けられる

太陽光発電の導入時は、低金利融資を受けられる場合があります。金融機関や自治体は、脱炭素社会に向けて環境保全につながる事業へ低金利融資を行っています。環境保全活動には太陽光発電も含まれるので、通常より低金利な融資を受けられる可能性があります。

なお、和上ホールディングスでは、全量自家消費型太陽光発電の設計施工だけでなく、金融機関の紹介や手続きのサポートまで対応しています。

太陽光発電導入のデメリット

続いては、太陽光発電導入のデメリットを紹介していきます。

初期費用の負担がかかる

太陽光発電を設置する場合、他の環境施設と同様に初期費用の負担がかかります。初期費用は設備規模によって変わりますが、事業用太陽光発電の規模なら1,000万円以上です。

大きな設備投資を避けたい事業者にとっては、デメリットといえます。ただし、自家消費によって浮いた固定費を返済に充てられますし、予算に合わせて設備規模を調整できます。さらに補助金や低金利融資を受ければ、初期費用を削減することが可能です。

継続的な維持管理が必要

太陽光発電を導入した場合は、定期的なメンテナンスの依頼や従業員による目視点検、監視モニタのチェックといった維持管理を継続していく必要があります。

維持管理の手間を避けたい方にとっては、わずらわしさを感じることもあるでしょう。

ただし太陽光発電の保守点検は、O&Mというメンテナンス専門のサービスに全て依頼できるため、設備管理に関する手間を省略することが可能です。さらにO&M業者や点検にも対応可能な施工販売業者は、遠隔監視で設備を常時チェックしています。

太陽光発電の設置を検討する場合は、O&M業者の選定やメンテナンスを含めて対応可能な施工販売業者を選定しましょう。

太陽光発電導入の負担を抑えるには補助金制度

太陽光発電の初期費用負担を抑えるには、補助金制度の活用を検討してみるのがおすすめです。

国では、法人や自治体向けに環境関連事業に対する補助金制度や支援制度を実施しています。中には、全量自家消費型太陽光発電の設備費用に対する補助金制度もあるので、初期費用負担を大幅に削減することが可能です。

たとえば、「民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業」の「(2) 新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業」は、ソーラーカーポート(カーポートの屋根に太陽光パネルを設置)や、オフサイト型太陽光発電(自家消費対象設備の建設されている敷地から離れた場所に太陽光発電を設置)などに対して補助金が交付されます。

ソーラーカーポートの場合は、設備投資に対して3分の1の補助金(上限1,000万円)を交付してもらえます。

工場立地法へ対応するには全量自家消費型太陽光発電を検討してみよう

工場立地法は、工場を建設・稼働させている事業者に対する法律で、工場の面積や環境施設および緑化の配置義務化などが定められています。また、太陽光発電は環境施設に含まれているので、電気料金削減効果や脱炭素経営といったメリットを得ながら工場の稼働を継続できます。

工場立地法に対応するため太陽光発電を検討し始めた方や、工場を所有しているため効率よく脱炭素経営を進めたい方は、今回の記事を参考にしながら全量自家消費型太陽光発電を検討してみてはいかがでしょうか?

和上ホールディングスでは、全量自家消費型太陽光発電の企画提案から設備の設計、部材調達から自社施工、保守管理まで一括サポートしています。

補助金制度に関するサポートも行っているので、初期費用の負担を抑えながら導入・運用できます。少しでも全量自家消費型太陽光発電について関心を持ち始めた方は、お電話やメールからぜひご相談ください。

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