ソーラーパネル(太陽電池)のCISとは?シリコンとの比較も解説

ソーラーパネル(太陽電池)のCISとは?シリコンとの比較も解説

ソーラーパネル(太陽電池)にはさまざまな素材があります。代表的なのが「シリコン系」と「化合物系」です。化合物系に区別されるCISは国内メーカーも生産しており、高い品質を誇ります。しかし、そもそもCISを理解している人は多くはないでしょう。この記事ではソーラーパネルのCISについて詳しく解説していきます。

ソーラーパネル(太陽電池)のCISとは?

ソーラーパネル(太陽電池)は再生可能エネルギーとして注目されており、多くの一般住宅や企業などが導入しています。その中でもCIS太陽電池は、低光条件下の発電量や温度特性に優れる太陽電池です。また、薄型で柔軟性に優れているため、大面積をつくりやすい点や曲面に取り付けられる点など、他の太陽光電池に比べて優秀な特性を持ちます。

さらに製造コストを削減でき、環境にも優しいことから、量産化が期待される次世代太陽電池でもあります。CIS太陽光発電の詳しい構造や特徴を詳しく見ていきましょう。

CISの構造と特徴

CIS太陽電池は、銅銅(Cu)・インジウム(In)・セレン(Se)の3つを主な原料とする化合物半導体太陽電池です。「CIS」はこれらの主原料の頭文字を組み合わせて名付けられています。CIS太陽電池の構造は、基板上に裏面電極があり、その上にCIS光吸収層・バッファー層・窓層半導体・透明電極層という構成です。CIS光吸収層の特性改善を目的にインジニウム(In)の一部をガリウム(Ga)に置き換えたGIGS太陽電池が用いられることもあります。

CIS太陽電池は高い光吸収性を持っており、薄膜で形成しやすいため、生産性に優れていることが特徴です。太陽電池セルの厚みは結晶系シリコン太陽電池が約200〜300mであるのに対し、CIS太陽電池は約2〜3μmと1/100程度です。薄膜化できるCIS太陽電池は製造コストも安価であるため、これからの量産化が期待されています。

日本国内では、昭和シェル石油の子会社であるソーラーフロンティアが製造しています。

ソーラーパネル(太陽電池)/CISとシリコンの違いを比較

CIS太陽電池とシリコン系太陽電池は、両方とも太陽光を電気エネルギーに変換するために使用する太陽電池です。しかし、各電池により優れている点や苦手な点も異なります。

ここからはCIS太陽電池とシリコン系太陽電池違いを見ていきましょう。

CIS太陽電池

CIS太陽電池は銅銅(Cu)・インジウム(In)・セレン(Se)を主原料としています。そのため、シリコン系太陽電池と比較して、製造時の消費エネルギーやCO2排出量が少ないという特徴があります。またCIS太陽電池は薄膜で形成できるので、少ない原料で量産化が可能です。

その一方で、シリコン系太陽電池よりも発電効率が良くないという問題があります。現在のシリコン系太陽電池の発電効率は20%を超えるものも出てきていますが、CIS太陽電池は通常約14〜15%です。

しかし、CIS太陽電池は低照度下での発電効率が高く、影のある場所でも発電できます。晴天の条件下ではシリコン系太陽電池に劣ってしまうCIS太陽電池ですが、曇時の発電には適しています。CIS太陽電池は比較的新しい商品であるため、これからの開発や改善に期待できます。

シリコン系太陽電池

シリコン系太陽電池は、ケイ素が原料の太陽電池です。太陽光を電気エネルギーに変換するために使用される半導体素材として、主に単結晶シリコン・多結晶シリコン・アルファモスシリコンの3種類があります。

単結晶シリコン太陽電池は単一の結晶からできており、高い変換効率を発揮します。しかし、製造コストが高いのが欠点です。

多結晶シリコン太陽電池は複数の小さな結晶からつくられ、比較的低コストで製造できます。太陽電池の中で、多結晶シリコン太陽電池は現在最も多く製造されていますが、結晶間の不純物や構造欠陥の影響で単結晶シリコンよりも変換効率が低くなることが短所です。

アモルファスシリコン太陽電池は、原料となるシランガスを薄膜状に蒸着して製造され、柔軟性があり軽量で取り扱いやすいという特徴があります。あわせて、シリコン原子の配列が不規則で結晶構造のない非結晶(アモルファス)な太陽電池です。結晶系シリコン太陽電池と比べて製造コストを抑えられますが、変換効率が低めです。

住宅用太陽光電池として一般的に広く使用される結晶系シリコン太陽電池は、国内市場の約8割を占めています。シリコン系太陽電池が普及した理由は、変換効率・耐久性・形状の多様さ・製造コストの面で優れているためです。

ソーラーパネル(太陽電池)CISのメリット

CIS太陽電池の構造や特徴とシリコン系太陽電池との違いについて解説してきました。CIS太陽電池がどのような太陽電池であるかある程度理解できたと思いますが、ここからはわかりやすくCIS太陽電池のメリットをまとめていきます。

次世代の太陽電池として注目されるCIS太陽電池のメリットについて詳しく見ていきましょう。

実発電量が多い

CIS太陽電池は、実発電量の多さが特徴です。CIS太陽電池の実発電量の多さには、温度特性・影による影響の少なさ・光照射効果の3つが関係します。シリコン系太陽電池は約60〜80℃の高温時は、出力の低下を抑えられません。しかしCIS太陽電池は温度変化に強く、シリコン系太陽電池と比べて高温時の出力低下を抑える特性を持ちます。

CIS太陽電池は影による影響が少ないことも特徴です。一般的な太陽電池とは電気の流れ方が異なるため、パネル部分に影がかかっても発電量の低下を抑えられるのです。

また、特有の光照射効果も持っています。光照射効果は、パネルに太陽光を当てると発電効率が上がる特性のことです。

CIS太陽光電池は、高い温度特性・影による影響の少なさ・光照射効果の3つの理由から、実発電量の多さを誇っています。

曇り空でも発電量が高い

CIS太陽光電池は、曇り空でも高い発電量を生み出せます。

その理由は、電気の流れが分散されるからです。そのためCIS太陽光発電は、一部分に太陽光が吸収できれば、部分的に効率よく発電できます。

一方、シリコン系太陽光電池は、影によって一部分の発電量が低下すると、全体の発電量が大きく低下してしまいます。

このようにCIS太陽光電池は、曇り空でも発電量を維持でき安定した発電能力を発揮できます。

省スペース・省資源につながる

CIS太陽電池は省スペースや省資源にもつながります。

CIS太陽光電池はこれまでの結晶シリコンと比較して光吸収率が高く、わずか約2〜3μmの厚さでも十分光を吸収できる特性を持っています。そのため、省スペースで取り付けできる薄膜太陽電池として高い変換効率を得られます。

プラスチック基板などを用いて、曲面や小型の機器などに利用できるフレキシブルな太陽電池の製作も可能です。また薄膜形成できることで、均等に1m以上の大面積の太陽光電池を製造できるため、大型のパネルにも適しています。

CIS太陽電池が省資源である理由は、薄膜で材料コストが大きくかからないからです。また、製造工程が結晶系シリコン太陽電池の半分ほどであることも関係しています。

ソーラーパネル(太陽電池)CISのデメリット・欠点

CIS太陽電池には実発電量の多さ・曇時の発電量の高さ・省スペースで省資源という3つのメリットがあります。しかし、メリットだけではありません。CIS太陽にもいくつかのデメリットや欠点があります。CIS太陽電池のデメリットや欠点について解説するので、詳しく見ていきましょう。

効率は良くない

CIS太陽電池は、発電効率が良くありません。

現在、CIS太陽電池の発電効率は約14〜15%です。しかし、一般的に広く利用されるシリコン系太陽電池の発電効率は20%前後であり、これと比較するとCIS太陽電池は発電効率が良くないと言えます。

またCIS太陽電池は薄膜化が可能であることから、どちらかというと大面積で発電することに優れた太陽電池です。そのため、より狭い面積で多くの発電量を得ることには適していない太陽電池と言われます。ただし、2019年にNEDOとソーラーフロンティアは、カドミニウムを含まないCIS系薄膜太陽電池セルによって、世界最高のエネルギー変換効率である23.35%のCIS太陽電池の開発に成功しています。

この記録は、CIS光吸収層の高品質化技術やカドミウムを含まないセル作製技術など、NEDOが推進してきたCIS系薄膜太陽電池に係る技術の融合によって達成されたものです。開発されたCIS太陽電池は、高い変換効率と優れた環境特性を両立させています。

現在は約14〜15%の発電効率であるCIS太陽電池ですが、NEDOとソーラーフロンティアの研究により、さらなる発電効率の上昇が期待できます。

パネル部分が重い

CIS太陽電池は、パネル部分の重量が重いこともデメリットとしてあげられます。

一般的なシリコン系太陽電池の重量は1㎡あたり約10〜15kgです。しかし、ソーラーフロンティアが販売している標準型のCIS太陽電池は、1㎡あたり18.5kgあります。

しかし太陽光パネルは分散して設置するため、バランスよく荷重がかかります。したがって重量に対して過度に心配する必要はありません。

ただし、太陽光パネルの重量が屋根の耐久性に影響を与える可能性があります。特に築年数の長い木造住宅や耐用年数の短い屋根では、太陽光パネルの重量が増えることで劣化や耐震性が落ちることも懸念されます。

CIS太陽電池を含む太陽光発電を設置する場合は、建物自体の構造や耐久性も考慮して設計・施工することが必要です。

ソーラーパネルのCISに関するまとめ

CIS太陽電池は銅銅(Cu)・インジウム(In)・セレン(Se)の3つを主原料とする化合物半導体太陽電池です。

太陽電池セルの厚みは結晶系シリコン太陽電池が約200〜300μメートルであるのに対して、CIS太陽電池は1/00程度である約2〜3μmで非常に薄く製造できます。

CIS太陽電池は製造コスト・温度特性・低照度下の発電・光照射効果に優れており、シリコン系太陽電池よりも環境に優しい太陽電池です。

しかし、シリコン系太陽電池と比較してCIS太陽電池は発電効率が良くありません。発電効率はシリコン系太陽電池の20%前後なのに対し、CIS太陽電池は約14〜15%程です。とはいえ、CIS太陽電池は比較的新しい商品なので、今後の改善が期待されています。

さらにCIS太陽電池にはパネル部分が重いという問題があり、建物自体の構造や耐久性を考慮して設計・施工することが大切になります。とくとくショップは創業30年で施工実績15,000棟を超える施工実績があります。

CIS太陽電池の導入を考えている際は、ぜひ専門性の高いとくとくショップをご利用ください。

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