CCSとは?技術的な特徴やCCUSとの違い、課題についてわかりやすく解説!

CCSとは?技術的な特徴やCCUSとの違い、課題についてわかりやすく解説!

CCSは二酸化炭素の回収・貯留に関する技術で、二酸化炭素の排出削減対策と両立させることでカーボンニュートラルに近づきます。

そこで今回は、CCSとはどのような技術なのか、実用化による社会のメリット、技術的な課題について詳しくご紹介します。脱炭素経営につながるビジネスを模索している方や再生可能エネルギーがどのような場面で役立つのか把握した上で導入検討したい方などは、参考にしてみてください。

CCSとはどのような技術?

CCS(Carbon dioxide Capture and Storage)は、発電所や工場などをはじめとした事業用設備から発生する二酸化炭素を回収および貯留する技術を指しています。

産業設備と回収設備を接続することで、大気中に排出させずに回収することが可能です。また、大気中に放出された二酸化炭素や、二酸化炭素を含む気体の回収技術についても研究開発されているので、さまざまな環境に合わせて回収・貯留できるのも特徴です。

CCSに人材や資金が投入されている理由

CCSはカーボンニュートラルを後押しできる技術なので、開発・実用化へ向けて多くの人材や資金が投入されています。(カーボンニュートラルは、二酸化炭素の排出量と吸収・削減量を同じ量にし、二酸化炭素排出量を実質0にしていく取り組み)

二酸化炭素をはじめとした温室効果ガスは、地球温暖化といった環境問題の原因として認識されています。しかし、人間や動物は二酸化炭素を排出しなければ生きられませんし、生産活動を全て止めてしまうと社会を保てません。

そこで考え出された解決策が、カーボンニュートラルなのです。

CCSを実用化できれば、各産業で排出されている二酸化炭素を回収し、全体の排出量を抑制できます。経済産業省はCCS技術の実用化を支援していて、官民一体となった技術開発も続けられています。なお、CCSの実用化目標は2030年とされています。

CCUS技術との違い

CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)は、CCSによって貯留された二酸化炭素を再利用するための技術です。

CCSとCCUSでは、技術内容や活用場面に大きな違いがあります。

二酸化炭素は、飲料や医療などといったさまざまな産業で必要とされている気体なので、事業活動における消費量をゼロにすることが難しい状況です。

そこでCCSとCCUS技術を組み合わせることができれば、二酸化炭素排出量を抑えながらさまざまな製品の製造やサービスの提供を維持できます。

二酸化炭素の分離回収方法

ここからは、CCSにおける二酸化炭素の分離回収方法についてわかりやすく解説します。

いくつかの方法で大気中の二酸化炭素を分離

二酸化炭素を他の気体や液体と分離させて回収する方法は、4種類ほど存在しています。以下に、二酸化炭素の分離回収方法を紹介します。

名称 概要
物理吸着法 1:二酸化炭素を含むガスを活性炭などと接触させる
2:接触させたのち、温度変化や圧力差で活性炭などの吸着剤へ二酸化炭素を吸着・分離
物理吸収法 1:メタノールをはじめとした液体へ二酸化炭素を含むガスを混合させ、高い圧力をかけることで二酸化炭素を溶解
2:溶解させたのち減圧して二酸化炭素を分離
膜分離法 多孔質(多数の細かい穴が開いた物質)の特殊な膜に二酸化炭素を含む排ガスを通すことで二酸化炭素を分離
化学吸収法 アルカリ性溶液と二酸化炭素を含むガスを混合させ、化学反応で二酸化炭素を分離

CCSの二酸化炭素分離方法として用いられているのは、主に化学吸収法です。化学吸収法は、他の吸収法と比較してシンプルな装置と方法で分離できるだけでなく、1回で多くの二酸化炭素を分離できるという点も特徴です。

分離させた二酸化炭素を地中へ貯留

二酸化炭素を分離回収したあとは、地中へ貯留させていきます。

地中貯留は、地下800m以上という地中の深い場所に二酸化炭素を送り込み、貯留する方法です。長期間貯留させるには、二酸化炭素の流出を防ぐために、遮蔽層という岩盤の厚い層の周辺にまで送る必要があります。また、貯留場所に一定の空間も必要なので、貯留層という隙間の多い層を探すことも大切です。

北海道の苫小牧CCS実証試験センターでは、地中貯留による実証実験を2016年から始めています。

CCSの実用化で社会にどのようなメリットがある?

CCSは、カーボンニュートラルを実現するために欠かせない技術で、さまざまなメリットもあります。続いては、CCSの実用化による社会全体のメリットをわかりやすく紹介します。

二酸化炭素排出量の抑制による気候変動問題の改善

CCS技術による二酸化炭素の大量回収と貯留を実現できれば、環境負荷の低減および気候変動問題の解決につながる可能性があります。

これまで二酸化炭素の排出を抑える方法は、排出量削減しかありませんでした。しかし、化石燃料を活用した火力発電所をすぐに停止させることはできませんし、二酸化炭素を必要とする産業もあります。

CCS技術の普及が進めば、既存の設備を活用しながら二酸化炭素排出量の増加を抑制できます。

二酸化炭素の有効活用につながる

二酸化炭素の有効活用につなげられるのは、CCS技術ならではのメリットといえます。

プラスチックの原材料でもあるオレフィンは、二酸化炭素によって生成されています。また、バイオ燃料や含酸素化合物、コンクリート製品などにも活用されているので、CCSにより貯留した二酸化炭素を有効活用できる状況といえます。

太陽光発電の電力を有効活用できる

太陽光発電事業の活用場面が増えるのも、CCSのメリットです。

CCSを実現するには、二酸化炭素を回収・貯留するための設備が必要です。設備を稼働させるには電力が必要ですが、火力発電などといった環境負荷の高い発電設備を活用してしまうとカーボンニュートラルにつながりません。

そこで太陽光発電で発電した電力でCCSの設備を稼働すれば、発電に伴う二酸化炭素排出を抑えられますし、太陽光発電設備の有効活用および価値向上につながります。

脱炭素経営に注目している企業は、CCSをはじめとした次世代技術の実用化に合わせて太陽光発電所を検討してみてはいかがでしょうか。

CCSの問題点

ここからは、CCSの問題点をわかりやすく解説していきます。

CCSの設備投資や運用コストが高い

CCSやCCUSといった技術を活用した設備を導入・運用していくには、莫大なコストがかかります。

二酸化炭素回収設備付きの火力発電所や産業用設備は、設計から運用、廃棄までに1兆円前後のコストがかかる場合もあります。また、1トンあたりの二酸化炭素回収費用は4,000円前後と高い状況です。

二酸化炭素回収後の輸送技術が未発展

二酸化炭素回収後の輸送技術が未発展のため、実用化まで時間を必要としています。

短距離の輸送手段として検討されているのは、パイプラインを活用した方法です。たとえば、火力発電所と二酸化炭素の分離回収設備が同じ敷地内にあれば、パイプラインで接続および輸送しやすいといえます。

一方、長距離の輸送手段は、トラックや船舶などが代表的です。輸送に大量の液化二酸化炭素を運ぶ手段がないため、新たな輸送技術の開発も求められます。

法的な整備が不十分

2023年時点でCCSやCCUSに関する法的な整備はありません。そのため、すぐに実用化可能な段階まで技術開発が進んだとしても、事業として始められない状況です。

なお国や政府では、2030年のCCS技術実用化へ向けて、賠償責任や二酸化炭素回収の認可制に関するルール作りなど、さまざまな法整備や規制関係の検討を進めています。

次の項目では、2023年のCCSに関する規制や環境整備を中心とした最新動向を紹介します。

CCS技術の実用化へ向けた動き

最後は、CCS技術の実用化へ向けた動きについて1つずつ確認していきましょう。

2030年の普及に向けて政府が環境整備を進めている

前段でも少し触れたように、国はCCSを2030年に実用化させるために環境整備を続けています。

国の環境政策は、2050年のカーボンニュートラルへ向けて、省エネ設備や再生可能エネルギーの活用を推進していくための補助金事業や支援を中心とした内容です。また、省エネ設備や再生可能エネルギーだけでは二酸化炭素排出量実質ゼロを達成することが難しいため、CCSおよびCCUSも重要な技術として認識されています。

CO2貯留事業権の創設が検討されている

二酸化炭素の貯留事業に関しては、貯留事業権が創設される見込みです。

二酸化炭素を貯留させる事業は、石油やガス事業と環境面などで共通する部分もあります。そこで国は、鉱山法制をベースに二酸化炭素の貯留事業に関する貯留事業権を検討しています。

貯留事業権は、貯留を行える場所かどうかを調べるための試掘権と、二酸化炭素貯留作業を行うための貯留権という2種類の権利が含まれています。つまり事業者は、貯留事業権を得るために国へ申請手続きや提案を行い、認可を受ける必要があります。

二酸化炭素漏洩時の賠償責任に対するリスク回避策の策定

貯留事業者に関しては、二酸化炭素漏洩時の賠償責任とリスク回避策について明記されました。

貯留事業中に地上に二酸化炭素が漏洩してしまった場合、貯留事業者に賠償責任が発生します。ただし、国にモニタリングの責任を移管したあとは、事業者ではなく国に賠償責任が発生する仕組みです。

また、万が一の損害賠償に備えた保険加入や供託が、事業開始の条件として定められる予定です。

二酸化炭素の回収と輸送、貯留は届出制

CCSを事業として成り立たせるために国は、ガス事業法をベースに届出および許可制による規制を検討しています。

CCS事業は、二酸化炭素の分離・回収事業、輸送事業、貯留事業の3種類に分けられる予定です。

二酸化炭素の分離・回収事業や輸送事業では、指定の届出が求められます。届出制は、ガス製造事業などに適用されていて、ライセンスの取り消しや事業開始義務はありません。

一方、貯留事業には許可制が定められます。許可制は、ライセンスの取り消しや事業開始義務などがありますし、全ての基準を満たさなければ許可されない仕組みです。そのため、貯留事業の方が事業を始めるには規制が厳しい傾向といえます。

CCS技術が実用化されれば太陽光発電をさらに活用できる!

CCSとは、火力発電や工場などから排出された二酸化炭素を含むガスを大気中もしくは大気に放出される前に回収し、分離および地中深くに貯留する技術のことです。また、CCSの設備に必要な電力を、太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーでまかなえば、二酸化炭素排出量を抑えながら事業を継続できます。

なお、CCSは2023年時点で実用化されておらず、別の事業で脱炭素経営を進めていく必要があります。

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