出力制御が適用される理由と太陽光発電の実践的防衛策をご紹介!

出力制御が適用される理由と太陽光発電の実践的防衛策をご紹介!

太陽光発電などの再生可能エネルギーの拡充に伴い、出力制御エリアの拡大が進んでいます。

かつては九州電力エリアに限られていた出力抑制が、2022年以降、多くのエリアで実施されています。出力制御の対象となると売電収入の減少や売却益の低下が起きる可能性があります。

この記事では、出力制御がなぜ行われるのか、対象エリア、そして今後の対応について詳しく解説します。

出力制御(出力抑制)の概念とその必要性

再生可能エネルギーの普及が進む中、太陽光発電や風力発電などの環境に優しい発電方法が注目されています。しかし、この普及に伴って新たな課題も浮上してきました。その一つが「出力制御」です。

出力制御とは、電力供給と需要のバランスを維持するため、電力会社が発電所の出力を一時停止や抑制することを指します。

この背景には、2012年に定められたFIT制度を機に、太陽光発電所や風力発電所が増加したことが挙げられます。

これらの発電所が急増した結果、従来の火力や原子力による発電量に加えて、再生可能エネルギーからの発電量も増加。一方で、消費される電気の量は一定なため、供給過剰の状況が生まれることがあるのです。

こうした背景から、電力の供給と需要が合致しないと、せっかくのエネルギーが無駄になるリスクが増大。このバランスを取るために、電力会社は出力制御を導入しています。

どういう時期や状況で出力制御が行われるのか?

出力制御が最も行われやすいのは春や秋です。特に、5月は太陽光発電量がピークを迎える一方、電力消費量は比較的低いため、電力供給が需給を大きく超えるリスクが高まります。

5月は太陽の照射時間が長く、太陽光発電の発電量が最も多くなるためですね。しかし、この時期は過ごしやすい気候で、大きな電力消費設備、特に空調の使用が少なくなるため、電力消費が低下します。

例として、ある発電所では5月の発電量が年間で最も高く、同時にその地域の電力消費量が低いことが確認されています。この結果、供給過多となり、出力制御が行われるケースが増加します。

このことから、太陽光発電の発電量が高く、電力需要が低い春や秋、特に5月は、出力制御が行われる可能性が高くなるというわけです。

全ての発電所が出力抑制の対象なのか?

電力供給が需要を上回る場合、発電所での出力が制御されます。しかし、全ての発電所が同時に出力を抑制されるわけではありません。では、どのような発電所が対象となるのでしょうか?

出力制御の対象となる発電所の特徴

出力制御の対象となるのは、火力、太陽光、風力、原子力を含むすべての発電所です。ただし、一斉に出力を制御されるわけではなく、それぞれの発電所には出力制御の優先順位が設定されています。

例えば、大きな送電網での電力のやりとりの中で、特定の発電所が突然大量の電力を供給すると、全体のバランスが崩れ、停電などのトラブルの原因となる可能性があるからです。

出力制御される順番

基本的に、発電量をコントロールしやすい火力発電所から順番に出力制御されます。再生可能エネルギー、特に太陽光や風力、水力は自然のエネルギーに依存するため、その発電量の調整は難しいのです。

さらに、水力発電(揚水を除く)、原子力発電、地熱発電は、技術的な理由から出力の調整が困難で、出力を停止したり低下させると、再度発電を開始するのが難しくなるため、出力制御の対象としては最も後回しにされます。

このような違いが存在する理由は、各発電方式が持つ特性や制約、そしてそれに伴うコストや技術的な課題に基づいています。これらの要因を考慮し、最も効率的で安全な方法で電力供給の安定を図っているのです。

出力抑制の対象となる太陽光発電所とは

近年、再生可能エネルギーの主役として太陽光発電が注目されています。しかし、この発電形態にも出力制御の課題が生まれています。

特に、以下の電力会社に売電を行う太陽光発電所がその対象となっています。

  • 北海道電力
  • 東北電力
  • 東京電力
  • 中部電力
  • 北陸電力
  • 関西電力
  • 中国電力
  • 四国電力
  • 九州電力
  • 沖縄電力

これまでに出力制御が適用されていたのは、初めは九州電力管轄エリアのみ。しかし、2022年4月からは、北海道電力を始めとする上記のほとんどのエリアで出力制御が行われるように変わったのです。

さらに、九州電力エリアでの出力制御は、これまで電気使用量の少ない春や秋だけでなく、電気需要量の増加する夏や冬にも適用されるようになりました。

この背景には、国内での太陽光発電施設の増加と、それに伴う発電量の増大があります。

太陽光発電の普及は環境保護の観点から大変重要でありながら、電力供給と需要のバランスを取るための新たな課題として、出力制御が増加しているのです。

今後、太陽光発電のさらなる普及と共に、この課題はより深刻化すると予測されます。

押さえておきたい出力制御のルールとその変遷

出力制御のルールは時代とともに進化しています。太陽光発電所の運営者や投資家だけではなく、一般の利用者にとって、これらのルールの変遷を知ることはとても重要です。

30日ルール(旧ルール)

太陽光発電が一般的となる前、2015年1月25日までに売電手続きをした発電所や、システム容量が500kWh以上の発電所は「30日ルール」のもとで動いていました。

このルールは、出力制御されても年間30日間までの売電収入が補償されないというもの。しかし、31日目以降に出力制御された場合、その売電収入は補償されるというシステムでした。

360時間ルール(新ルール)

2015年、FIT制度の改正が行われるとともに、30日ルールは「360時間ルール」へと移行しました。

この新ルールの対象は、2015年1月26日以降に売電手続きをした発電所です。

360時間ルールの下で、発電所は出力制御されても、その制御時間が360時間を超えるまでは、売電収入は補償されないとされています。

無制限・無保証ルール(指定ルール)

最も厳格な「指定ルール」は、出力制御に関する時間制限や日数制限が一切なく、どれだけの期間出力制御されても売電収入の補償が行われないというものです。

2022年4月以降の申し込みで始まった発電所は、すべての電力会社の管轄下でこの指定ルールが適用されます。

ただし、2022年3月までの申し込みや契約電力に関しては、電力会社や契約内容によって取り扱いが異なる場合があります。

このような変遷を通して、発電所や利用者は出力制御の仕組みに柔軟に対応してきました。

それぞれのルールには独自の特徴や背景があり、太陽光発電の未来に影響を与える要素となっています。

出力制御の影響で太陽光投資は今後どうなるのか?

太陽光発電の投資環境は出力制御の導入によって変わってきました。しかし、この変化が具体的に投資にどんな影響を及ぼしているのでしょうか?

出力制御が太陽光投資に及ぼす影響

太陽光投資の魅力の一つは、その売電収入から得られる利益です。もちろん、出力制御によって売電が制約されることは、投資のリスクを増大させる要因となり得ます。

具体的には、年間360時間の出力制御が適用される場合、実質的に15日間は売電ができない状況が発生します。このような状況は初めて聞くと、投資としての魅力が減少するかのように思えます。

しかし、重要なのは、出力制御の優先順位の中で太陽光発電は比較的低い位置にあるという事実です。これは、電力会社の主な発電源である揚水水力発電所や火力発電所が先に出力制御の対象となるためです。

このため、出力制御の影響を受けやすい発電方式が他にあるという背景から、太陽光投資が大きなリスクにさらされる可能性は低いと言えます。

出力制御が原因での買取価格・売却価格の変動予測

出力制御の影響を受けると、電力の供給と需要のバランスに変動が生じる可能性があります。

この変動は、長期的な視点で買取価格や売却価格に影響を及ぼすかもしれません。

例えば、水が不足する乾季における農作物の価格を考えてみましょう。水の供給が限られた状況では、作物の生産量が減少し、供給量が需求を下回ることが予測されます。

この結果、作物の価格は高騰する傾向にあります。同様に、太陽光発電が出力制御により一時的に供給を減らすことで、電力の供給が短期的に不足する可能性が考えられます。

このような状況下で、安定的に電力を供給できる太陽光発電の価値は、ピーク需要時に一層高まるでしょう。

出力制御への備えとしての実践的対策

出力制御に直面する太陽光発電ですが、リスクを最小限に抑え、さらなる価値を見出す方法があります。

太陽光発電物件の正しい選び方

太陽光発電投資を行う際、注目すべきは利回りや価格ではなく、「物件の位置」です。

出力制御のルールは、地域や稼働開始年度によって変わります。特に10~50kWの発電所は、東京電力・中部電力・関西電力管内では安心。

しかし他地域では注意が必要です。この出力制御のリスクからできる限り回避するには、発電所の地域と稼働開始日を的確に確認することがポイントになります。

蓄電池の設置とその効果

発電した電気を最大限活用したいなら、蓄電池の導入を検討すべきです。

出力制御時、売電はできませんが、発電そのものは継続可能。この発電した電気を蓄電池に貯め、自家消費に活用することで、エネルギーのムダを防ぎましょう。

太陽光発電システムに蓄電池を導入した方が、お得になる状態のことを「ストレージパリティ」という言葉をご存知でしょうか?

太陽光発電の限界は、天気依存性や夜間の発電不足。しかし蓄電池を駆使すれば、理論上24時間太陽の力だけで生活ができるというものですね。

このストレージパリティの実現は現段階では難しいですが、技術の進化とともに、太陽光発電と蓄電池の組み合わせは、私たちの未来を照らす大きな力となるのは確かではないでしょうか。

まとめ

太陽光発電の投資は魅力的である一方、出力制御の影響が避けられない現実があります。

この出力制御は、電気の供給と需要の均衡を守るための重要な手段ですが、投資家としては売電収入が途絶えるリスクを懸念します。しかし、適切な選択をすれば、そのリスクは大幅に軽減されます。

特に、物件の選び方や保険の選定がポイント。あらかじめ、物件の出力制御ルールや保険の補償内容を確認することで、安心して太陽光発電への投資を進められるでしょう。

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