2018年7月以降、FIT認定を受けて太陽光発電を運用する場合は、定期報告書の作成と報告を行う必要があります。そこで今回は、太陽光発電の定期報告に関する条件と必要書類、手続きの流れについて詳しくご紹介します。太陽光発電のFIT認定を初めて受ける方や、中古太陽光発電の導入にあたって確認しておくべき項目を知りたい方などは、参考にしてみてください。
FIT型太陽光発電の設置・運用時に定期報告が義務化
FIT型太陽光発電を運用する場合は、定期報告書を経済産業省へ提出する必要があります。書類の種類は、設置・運用・増設の3種類です。
これからメガソーラーや中規模程度の太陽光発電でFIT認定を受ける場合は、定期報告の流れやルールについて把握しておくことが大切です。それでは、FIT型太陽光発電の定期報告に関する概要をわかりやすく解説していきます。
出力10kW未満の住宅用太陽光発電は一部の書類提出が求められる
出力10kW未満の住宅用太陽光発電でFIT認定を受ける場合は、定期報告のうち設置費用報告が必ず求められます。
設置費用報告は、太陽光発電所の設置から1ヶ月以内に提出しなければいけない定期報告です。また、経済産業大臣から運転費用報告について求められる場合があり、年1回のペースで報告を行わなければいけないケースもあります。
増設費用報告に関しては、太陽光発電設置後に太陽光パネルを増設し、なおかつ出力10kW以上の場合に必要です。そのため、出力10kW未満の状態で住宅用太陽光発電を運用する場合は不要です。
出力10kW以上の産業用太陽光発電は全書類の提出が必要
出力10kW以上の産業用太陽光発電でFIT認定を受けた場合は、全ての定期報告が求められます。また設置費用報告は、住宅用太陽光発電のケースと同じく、設備設置から1ヶ月以内に報告しなければいけません。
運転費用報告に関しては、設置および発電を開始した月の翌月までに提出し、その後は毎年1回報告を続ける必要があります。
さらに太陽光パネルの増設を行った場合は、増設後の状態で発電を始めた日から1ヶ月以内に提出しなければいけません。
出力10kW以上の太陽光発電を運用する場合は、設置と運用、増設の際にそれぞれ定期報告するのを忘れないよう注意しましょう。
定期報告の対象者は太陽光発電所有者
定期報告の対象者は、FIT型太陽光発電所の所有者です。万が一、定期報告が遅れたり提出を忘れたりした場合は、FIT認定の取り消し処分を受ける可能性があります。
そのため、FIT認定を受けて太陽光発電所の設置運用を行う個人や法人は、定期報告の準備も進めることが大切です。
太陽光発電の定期報告には3種類の報告がある
前半でも触れたように、FIT型太陽光発電の定期報告は3種類に分かれています。特に出力10kW以上の産業用太陽光発電を設置運用したい場合は、3種類全てに関する内容と必要書類を把握しておきましょう。
それでは、定期報告の種類と必要書類についてわかりやすく解説していきます。
設置費用報告は初期費用に関する内容が含まれる
定期報告の設置費用報告は、FIT型太陽光発電の初期費用を経済産業省に報告するための書類です。提出期限は、太陽光発電の発電開始日から1ヶ月以内とされています。
太陽光発電所の設置費用には、太陽光パネルをはじめとした設備費用の他、施工費用などが含まれます。また、地上設置型太陽光発電なら、造成工事費用も発生します。
報告書は、資源エネルギー庁のホームページにある、費用の定期報告というページからダウンロードできます。
書類の主な記入項目は、以下の通りです。
- 報告書の記入日
- 太陽光発電設備の所在地
- 設置方式(屋根、地上)
- 電気事業者との特定契約に基づく受給開始日
- FIT認定申請時に提出した初期費用の金額
- 設備の出力や種類
- 金額の内訳を項目ごとに記入
設置費用報告の記入や提出は、太陽光発電の施工販売店に依頼できます。万が一、施工販売店が事業停止・倒産している場合は、設置工事の見積書や受給契約書などを確認しながら記入しましょう。
運転費用報告は年間収支に関する報告
運転費用報告は、FIT型太陽光発電の保守点検費や固定資産税、保険料などといった維持管理費用を報告するための書類です。さらに運転を開始した月の翌月末までに、毎年1回提出する必要があります。
提出先は経済産業省で、設置費用報告と同じく資源エネルギー庁HPから様式をダウンロードできます。維持管理費用は施工販売店で把握していないため、原則として事業主側で対応する必要があります。
以下に主な記入内容を紹介します。
- 報告書の記入日
- 登録住所
- 登録氏名
- 太陽光発電の設備所在地
- 設置方式(屋根、地上)
- 電気事業者との特定契約に基づく受給開始日
- 保安や保守、セキュリティ、メンテナンス費用
- 修理交換にかかった費用
- 土地を借りている場合は貸借料
- 人件費
- 保険料
- 遠隔監視を行っている場合は通信費
費用を記入する際は、決算書や契約書類に記載されている金額などから、正確に記録していくことが大切です。
増設費用報告は設備を追加した場合に求められる
増設費用報告は、FIT認定を受けた太陽光発電所の太陽光パネルやパワーコンディショナを追加で設置する際に提出します。
太陽光パネルやパワーコンディショナを増設した場合は、出力増加した日から1ヶ月以内に必要書類を経済産業省に提出する必要があります。
必要書類の様式は、資源エネルギー庁のホームページからダウンロードできます。記入や提出については、太陽光発電所有者もしくは施工販売店側で対応することが可能です。
以下に主な記入内容を紹介します。
- 報告書の記入日
- 登録住所
- 登録氏名
- 太陽光発電の設備所在地
- 設置方式(屋根、地上)
- 電気事業者との特定契約に基づく受給開始日
- 増設工事の内容や費用の詳細
増設費用報告の費用項目記入時は、合計金額だけでなく、増設した設備費用、造成工事や施工の費用などをそれぞれ正確にまとめる必要があります。
太陽光発電の定期報告を作成するには?
続いては、太陽光発電の定期報告作成方法についてわかりやすく紹介します。
再生可能エネルギー電子申請サービスを使った入力と提出
紙書類の印刷や記入に手間や負担を感じる場合は、電子申請の利用がおすすめです。オンラインサービスの再生可能エネルギー電子申請サービスは、電子申請に対応しています。(再生可能エネルギー電子申請サービス:経済産業省から委託された代行申請機関)
再生可能エネルギー電子申請サービスを利用するには、まず同HPへアクセスし、ログインIDとパスワードの取得、および新規登録が必要です。
登録後は、資源エネルギー庁HPから各様式をダウンロードし、必要項目を入力したデータを再生可能エネルギー電子申請サービスにアップロードすれば完了です。
電子申請できない場合は紙書類を郵送
様式をダウンロードできない・電子申請が苦手という方は、「一般社団法人 太陽光発電協会 JPEA代行申請センター 報告グループ」から紙の様式を郵送してもらえます。
必要事項を記入したのち、「一般社団法人 太陽光発電協会 JPEA代行申請センター 報告グループ」に返送する流れです。
なお、紙書類を提出する際は、コピーではなく原本を添付する必要があります。また、朱色の捺印が必要なので、忘れないよう気を付けましょう。
太陽光発電の定期報告は代行してもらえる
太陽光発電の定期報告に対応できない、複数の設備を所有していて対応しきれない場合は、専門の代行業者へ依頼してみるのもおすすめです。
太陽光発電関連のサービスには、設置や増設工事、販売の他、定期報告の代行サービスが含まれていることもあります。費用は代行サービスによって異なるものの、1件5,000円~1万円といった価格で対応してもらえるケースもあります。
中古太陽光発電の導入を考えている場合は定期報告書があるか確認すべき
FIT型中古太陽光発電所の購入および発電を検討している方は、購入前に定期報告書の作成や提出が行われているか確認しておきましょう。
改正FIT法で定期報告の対象設備には、新規設置された太陽光発電だけでなくFIT型中古太陽光発電も含まれています。そのため、定期報告されていない中古太陽光発電物件は、適切に運用管理されていない可能性があります。また、FIT認定を取り消されるリスクもあります。
FIT型中古太陽光発電物件を比較検討する際は、設備状況を把握・調査している売買仲介サービスへ相談するのが大切です。
FIT型太陽光発電を導入する時は定期報告の作成と管理にも目を向けよう!
FIT型太陽光発電を新規導入、もしくは中古物件を購入する場合は、設置費用や運転費用に関する定期報告が求められます。また、太陽光パネルやパワーコンディショナの増設を行う場合は、増設費用に関する定期報告が必要です。
太陽光発電の売電収入を重視している方や効率よく売電収入を得たい方は、セカンダリー市場で中古太陽光発電物件を比較検討してみてはいかがでしょうか?
中古太陽光発電物件の売買仲介サービスを展開している弊社とくとくファームは、中古太陽光発電物件の設備状態だけでなく、発電実績やFIT認定関連の書類、定期報告書の提出状況まで1つずつ確認しています。
メールやお電話によるご相談の他、無料の個別セミナーでは太陽光発電事業の基礎やFIT制度関連の注意事項まで丁寧に1つ1つご説明いたします。
オンラインによるセミナーなので、場所や時間を選ばずご予約いただけます。