太陽光発電の設備認定失効とは?制度概要を分かりやすく解説

太陽光発電の設備認定失効とは?制度概要を分かりやすく解説

設備認定失効制度は、未稼働案件のFIT認定取り下げに関する制度で、2022年4月1日より始まります。中には太陽光発電の設備認定失効制度の詳細が分からず、悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、太陽光発電の設備認定失効制度の詳細について分かりやすくご紹介します。未稼働案件を抱えている方や設備認定失効制度について分からない方は、参考にしてみてください。

太陽光発電の設備認定失効制度とは?

太陽光発電の設備認定失効制度とは?

設備認定失効制度は、未稼働案件を対象にした規制制度です。

そこでまずは、太陽光発電設備の設備認定失効制度の概要と規制対象の案件について確認していきます。

未稼働案件に対するFIT認定取り下げ措置

経済産業省の資源エネルギー庁では、太陽光発電設備の長期未稼働案件を減らすために、FIT認定取り下げに関する設備認定失効制度を発表しました。

設備認定失効制度は、2022年4月1日より実施される予定です。FIT認定を受けた太陽光発電案件の中でも長期間稼働されてない設備や着工されていない案件は、FIT認定の取り下げが行われます。

法改正および制度更新の主な目的は、太陽光発電案件の新陳代謝と適切な固定買取価格を維持するためです。また、適切な案件と稼働を期待できない案件を見極めるために、太陽光発電事業の進捗状況や工事計画の届け出など複数の条件が設けられています。

運転開始期限のない2012年~2016年認定の案件

法改正前の2012年〜2016年度にFIT認定を受けた未稼働案件の中で2016年7月31日までに接続契約を結んだ案件を所有している場合は、着工申込書を提出しているかどうかで失効時期が変わります。

着工申込書を提出していない時は、2023年3月31日に失効されます。

2023年3月31日までに着工申込書を提出した場合は、提出日から1年後に運転開始期限が設定されます。また、運転開始期限に3年間の猶予があるので、期限までに運転を開始すれば失効されません。

固定買取価格は、FIT認定年ではなく着工申込手続きの2年前の価格が適用されます。たとえば、2012年にFIT認定を受けて2022年に着工申込を行った時は、2022年の固定買取価格が適用されます。

運転開始期限2022年4月1日以前の案件は即失効

設備認定失効制度が実施される2022年4月1日までに運転開始期限を迎える案件は、2023年3月31日までに着工申込を行うかどうかで失効を避けられる可能性があります。

具体的には、2023年3月31日までに着工申込手続きを進めていない場合は、2023年4月1日にFIT認定を取り下げられます。

また、2023年3月31日までに着工申込を進めた場合は、2025年3月31日まで猶予期間が定められます。つまり2025年3月31日までに運転を開始できれば、FIT認定を維持することが可能です。

2025年3月31日までに運転を開始していない場合は、2025年4月1日時点で失効されます。

運転開始期限が定められた案件の中で2019年3月31日までにFIT認定を受けた未稼働案件を所有している方は、上記の失効要件を把握した上で着工申込や設備設置および運転を行う必要があります。

運転開始期限2022年4月1日以降の案件は1年後に失効

2022年4月1日以降に運転開始期限を迎える場合は、FIT認定から3年後の運転開始期限から1年後に着工申込を行う必要があります。

2020年4月1日にFIT認定を受けた案件は、2023年3月31日までに運転開始期限を迎えます。2024年3月31日までに着工申込を進められなかった場合は、認定を取り下げられてしまいます。

着工申込手続きを進めた場合は、3年間の猶予を受けられる仕組みです。2026年3月31日までに運転を開始できない案件は、2027年4月1日に失効されます。

なお、2022年4月1日以降に運転開始期限を迎える未稼働案件を所有している場合は、他のケースよりも失効まで猶予があります。ただし、失効される可能性があるので、早めに手続きを進められるよう準備を進めておくのも重要です。

設備認定失効制度実施前の措置

設備認定失効制度実施前の措置

設備認定失効制度実施前は、2016年と2018年の法改正によって未稼働案件の規制が行われています。

また、未稼働案件の失効要件には、2016年と2018年の法改正および要件も関連しているので、各措置を確認しておくのが重要です。

それでは、2016年と2018年の措置について確認していきます。

2016年の措置

2016年の措置は計画認定制度という制度です。

2017年3月31日までに接続契約を締結していない案件は、設備認定の失効を受けるのが特徴です。接続契約とは、太陽光発電を含む発電設備で発電した電気を電力会社へ送電するための契約のことです。

2016年8月1日より接続契約を締結した案件と7月31日までに接続契約を締結した案件は、それぞれ以下の措置を受けます。

2016年7月31日までに接続契約を締結運転開始期限が定められない
→設備認定失効制度の中で「運転開始期限のない2012年~2016年認定の案件」に含まれる
2016年8月1日より接続契約を締結運転開始期限3年間(10kW未満は1年間)
→「運転開始期限2022年4月1日以前の案件」に含まれる

2016年7月31日までに接続契約を締結した案件を所有している時は、前段で解説している「運転開始期限のない2012年〜2016年認定の案件」の失効要件が適用されます。

一方、2016年8月1日より接続契約を締結した案件を所有している時は、船団で解説している「運転開始期限2022年4月1日以前の案件」の失効要件が適用されます。

それぞれ、FIT認定の取り下げにいたる条件や期限が異なるので、混同しないよう気を付ける必要もあります。

2018年の措置

2016年の規制でも未稼働案件が残ったため、2018年に新たな措置が設けられました。

2012年〜2016年度にFIT認定を受けた未稼働案件の中で2016年7月31日までに接続契約を結んだ案件を所有している場合は、所定の手続きを進めなければ固定買取価格の下落や期間短縮といった措置を受けます。

具体的な措置は以下の通りです。

  • 着工申込の受領期限が定められる
  • 着工申込受領期限内に手続きを進めると固定買取価格は変わらない
  • 着工申込受領期限を過ぎると固定買取価格は着工申込受領日の2年前に変更(固定買取価格下落につながる)

また、2018年の措置では、運転開始期限未設定の案件にも運転開始期限が定められています。運転開始期限の追加措置が、法改正の大きなポイントです。

2018年の措置に該当する場合は、着工申込受領期限もしくは最初の着工申込受領日から1年間を運転開始期限とされます。

運転開始期限の過ぎた未稼働案件は、固定買取期間が短縮されてしまいます。2016年と2018年の措置によって全ての未稼働案件は、何らかの規制を受けているのが特徴です。

なぜ設備認定失効制度が設けられた?

なぜ設備認定失効制度が設けられた?

設備認定失効制度が設けられた理由は、主に3種類存在します。

ここでは、設備認定失効制度の実施理由を解説していきます。

国民負担の増大

固定買取価格の財源は、再生可能エネルギー促進賦課金で年間2.4兆円程度です。再生可能エネルギー促進賦課金は、国民の電気料金に含まれており、毎月徴収されています。

未稼働案件が増加および今後稼働されると、国民負担の急激な増大につながります。消費者にとっては、デメリットしかありません。

そのため、長期未稼働案件のFIT認定取り下げが、必要な状況へ変わりました。

再生可能エネルギーのコストダウンを阻んでいる

2012年や2013年などの高い固定買取価格でFIT認定を受けた未稼働案件は、再生可能エネルギーのコストダウンを阻んでいます。

固定買取価格の高い未稼働案件を残していると、再生可能エネルギー促進賦課金の予算を増やさなければいけません。

予算の増加は国民負担の増大につながりますし、再生可能エネルギーのコストダウンを鈍らせてしまいます。再生可能エネルギー業界の成長には、未稼働案件の規制を含めたコストダウンが欠かせません。

新規事業者の参入が難しい状態

FIT認定および接続契約済みの未稼働案件が多数残っていると、送配電容量を圧迫してしまいます。新規で太陽光発電事業を始めたい個人や法人にとっては、重大な問題です。

電力会社の送配電容量には、上限が定められています。送配電容量に空きがない場合、新たに売電契約を結べません。

そこで国および資源エネルギー庁では、再生可能エネルギーの普及促進を行うために設備認定失効制度を設置したり税制優遇を設けたりしています。

設備認定の失効を避ける上で重要な系統連系⼯事着⼯申込み

設備認定の失効を避ける上で重要な系統連系⼯事着⼯申込み

系統連系工事着工申込などの手続きは、FIT認定失効までの猶予期間を延長できます。

申込み書類は、大手電力会社10社のサイトよりダウンロードすることが可能です。書類へ必要事項を記入したあとは、買取事業者(電力会社)へ提出します。

審査要件については以下の通りです。

  • 太陽光発電設備の設置場所に関する所有権や使用権を得ている
  • 設置場所の届出や変更に関する不備がない
  • 再生可能エネルギー発電事業計画の実施に必要な林地開発許可を受けている

設置場所に関する届出や変更と林地開発許可に関する手続きは、農地転用許可など指定の許可を得なければいけない場合にかぎり必要な要件です。

このように各種書類提出や準備作業は、太陽光発電初心者や忙しい事業者にとって複雑かつ手間もかかります。

弊社とくとくファームは、中古太陽光発電所の売買仲介に加えて登記から事務手続きまで代行します。売却にも対応しているので、未稼働案件を含め設備を手放したい方はご相談ください。

設備認定失効制度は未稼働の設備を対象にした制度!

設備認定失効制度は未稼働の設備を対象にした制度!

設備認定失効制度は、2022年4月1日より開始予定の制度です。FIT認定を受けているものの運転を開始していない設備はFIT認定を取り下げられるため、期限までの設置や運転開始が必須です。

太陽光発電を始める前に各種制度を学んでいる方や既に未稼働案件を保有していて手放すか悩んでいる方は、今回の記事を参考に制度の確認や売却を検討してみてはいかがでしょうか。

弊社とくとくファームでは、中古太陽光発電所物件を多数掲載しております。専任のアドバイザーが、多種多様なサポートおよび見積もり書の作成および提案を行います。また、司法書士による登記代行などのサービスを提供しているので、売却に関するあらゆる手間を省略いただけます。

未稼働案件を含め太陽光発電所の売却を検討している方は、一度とくとくファームへお問い合わせ、査定申込を行ってください。

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