気候変動問題に対して、世界でさまざまな対策が打ち出されています。CDPは気候変動問題に取り組む組織の1つで、日本の企業にとっても注目すべき指針が示されています。
そこで今回は、CDPとは何かという点から企業の気候変動対策との関連性まで詳しくご紹介します。脱炭素経営に向けてさまざまな活動へ取り組みたい方や気候変動関連の組織や枠組みについて把握した上で対策を講じたい方などは、参考にしてみてください。
CDPとはどんな組織?
CDPとは、気候変動などの環境に関する情報を収集・管理・開示している、イギリスで設立された国際的な非政府組織(NGO)です。
2000年の設立時は「カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(Carbon Disclosure Project)」という名称で、企業が排出する二酸化炭素などの温室効果ガスの量を「見える化」する取り組みを行なっていました。現在は、気候変動に加えて水質汚染や森林伐採などの環境問題へも活動を拡大したことで、略称の「CDP」が正式な名称となりました。
気候変動問題に取り組む企業を評価しているNGO
CDPでは、1年に1度企業や自治体などの各種団体に質問書を送り、環境対策の取り組みに関する情報を収集しています。各企業や団体からの回答を元にスコアリングを行い、その情報を管理・公開しています。
現在、温室効果ガスなどの影響による地球温暖化が国際社会の中で問題となっていますが、この問題は産業革命以降の経済活動が大きな原因です。
CDPは、企業などの各種団体の環境対策に関する質問書への回答を依頼することで、各企業などが環境問題への取り組みを強化していくことを目的としています。
これにより、企業や自治体が自身の経済活動が環境へ与える影響を認識し、持続可能な社会の実現が期待できます。
そのため、CDPでは気候変動などの環境問題に自ら力を入れて取り組んでいる企業を評価し、広く情報公開する活動を行なっています。
CDPは、2005年から日本でも活動を行なっています。
参加者の多い組織
環境問題への関心は世界的にも高まっており、2022年には世界の株式市場の時価総額の半分を占める 18,700 以上の企業、1,100 以上の都市・州・地域が、 気候変動・フォレスト・水セキュリティに関するデータを CDP を通じて開示しています。
これは2021年と比べても38%増加しており、さらに2015年にパリ協定が採択されてからは233%増と、2000年のCDP設立後において最大の開示数となっています。
出典:「2022年、1700社以上の日本企業を含む約2万組織がCDPを通じて環境情報を開示」
CDPで設定している格付け
CDPでは、質問書の回答を元にスコアリングを行なっています。
回答した企業は、環境スチュワードシップに向けた「 情報開示」「 認識」 「 マネジメント」 「 リーダーシップ」の4つのレベルに分けられ、「A、A-、B、B-、C、C-、D、D-」の8段階で評価されます。
Aは最高評価、D-が最低評価となっており、無回答の場合はFです。
回答企業へは、その企業が環境スチュワードシップのどの段階に位置しているのか、今後の取り組みはどのように行うべきかの改善点も含め、結果として通知されます。
出典:「スコアリングイントロダクション 2021からの引用」
CDPが作成している質問書は3種類
CDPが企業や各種団体へ送付している質問書は3種類あります。各質問書が具体的にどのようなものなのか詳しく紹介します。
水セキュリティ
CDPは、企業に水に関する「水セキュリティ質問書」への回答を求めています。現在世界的に水の需要は増加していますが、気候変動がもたらす干ばつなどの影響により水資源の不足が問題となっており、2030年までには水供給が56%不足すると予測されています。
そのため、「水セキュリティ質問書」を通じて水リスクとその影響を企業が認識し、水の管理への理解を深め、サプライチェーンを含めたレジリエンスの向上を目指しているのです。
出典:「2022年 CDP水セキュリティ質問書」
フォレスト
CDPは、企業に森林に関する「フォレスト質問書」への回答を求めています。
森林は、地球温暖化の原因となっている二酸化炭素の吸収源です。平均気温上昇を1.5℃未満に抑えるという世界的な目標の達成のためにも重要な役割をになっています。
しかし、温暖化による森林火災の増加やコモディティ調達によって、森林が減少しているのが現状です。
CDPでは「フォレスト質問書」により企業が森林に対する課題を正しく認識し、サプライチェーンを含めたレジリエンスの向上を目指しています。
出典:「2022年 CDPフォレスト質問書」
気候変動質問書
CDPは、企業に環境に関する「気候変動質問書」への回答を求めています。産業革命以降、人的な要因がもたらす急激な地球温暖化による気候変動は、世界的に深刻な問題です。
たとえば、豪雨による洪水や異常乾燥が引き起こす大規模な森林火災など、世界中で異常気象や自然災害が頻繁に発生しています。
持続可能な社会を目指すためには、環境保護をしながら経済発展をしていく必要があります。
そのため、CDPは「気候変動質問書」を通して、企業へ気候関連シナリオ分析や事業戦略、二酸化炭素排出削減の目標や活動を促しています。
出典:「CDP2022気候変動質問書」
CDPによってA評価を受けた主な企業
気候変動・フォレスト・水セキュリティに関する取り組みと情報開示において、CDPによりA評価を受けた企業は、2022年には全世界で330を超えました。国別で比較すると日本が最多です。
A評価を受けた日本の主な企業は、花王株式会社・味の素株式会社・ANAホールディングス株式会社・アサヒグループホールディングス株式会社・大日本印刷株式会社・第一生命ホールディングス株式会社・第一三共株式会社・ダイキン工業株式会社・大和ハウス工業株式会社・大和ハウスリート投資法人・デルタ電子株式会社・株式会社デンソーなど、91社です。
種類別のA評価も、気候変動が74社、フォレストが35社、水セキュリティが35社と、こちらも日本がトップです。
出典:「CDP2022 スコア公表」
出典:「A リスト 2022」
企業がCDPの評価を意識する必要性
世界の多くの企業がCDPの質問書に回答し、評価を受けています。CDPの評価を世界各国の企業が意識する必要性について説明します。
投資家の判断材料に用いられている
CDPが行なっている格付けや公表している情報は、金融機関や機関投資家の投資先を選ぶ際の判断材料にもなっています。
世界的に環境保護が注目されている中、環境・社会・ガバナンスに配慮した企業を投資先に選択するESG投資を行う投資家にとっても、CDPの行う格付けは無視できません。
企業価値アップにつなげられる
世界的に問題となっている環境問題に対し、積極的に対策を行なっていることがCDPにより評価・情報公開されることで、企業の価値を上げることができます。
質問書へ回答を行わないなどCDPの活動に積極的に参加しない場合には、逆に企業の価値を下げることに繋がりかねないでしょう。
国がCDPと関わりを持っている
環境問題が国際問題化する中、日本政府も2020年10月の国会において「2050年カーボンニュートラル宣言」を表明しました。これは、日本として2050年までに温室効果ガスの排出実質ゼロを目指すという宣言です。
この目標を達成するため、日本の企業・地方自治体・各省庁も積極的に取り組んでおり、また環境省が「サプライチェーン・アジア・サミット2021」をCDPと共催するなど、日本政府もCDPとの関わりを強めています。
CDPからの評価を上げるには?
企業がCDPからの評価を上げるには、どのような取り組みに力を入れていけば良いのかを解説します。
多角的な視点からサステナブルな社会に貢献していく
CDPによる評価を上げるには、企業自らが気候変動などの環境問題に力を入れて取り組むこと、多角的な視点からサステナブルな社会に貢献していくことが重要です。
取り組みやすい選択肢の1つは太陽光発電
サステナビリティ活動など、環境経営に取り組むための選択肢として、自家消費型太陽光発電の導入があります。
燃料費などの高騰により電気料金の値上げが続く中、環境問題にも取り組むことができ、電気料金の削減も同時に行うことができる自家消費型太陽光発電への投資は、環境経営を考えている経営者から注目されています。
CDPは国内企業にとっても意識すべき評価機関!
企業としての価値を高め、投資家や投資期間からの資金を集めるためにも、CDPは意識すべき評価機関です。
地球温暖化などの環境問題は国際的な問題であり、日本の企業も地球の環境を守りながら持続可能な社会を目指せるように、環境対策を積極的に行なっていく必要があります。
環境経営を考えているならば、そのための取り組みとして自家消費型太陽光発電の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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