カーボンバジェットをわかりやすく解説!二酸化炭素排出量削減方法とは?

カーボンバジェットをわかりやすく解説!二酸化炭素排出量削減方法とは?

近年、日本でも脱炭素経営や環境経営といった考え方が広まりつつあり、各企業でさまざまな環境対策が行われています。カーボンバジェットは、温暖化による気温上昇を抑えるための二酸化炭素の累積排出量の指標です。多くの企業にとって関連性のある内容なので、早めに把握しておくのが大切です。

そこで今回は、カーボンバジェットの意味や重要性、二酸化炭素排出量削減策について詳しくご紹介します。脱炭素経営に役立つ情報が欲しい方や、カーボンバジェットについて最近知ったものの内容がよくわからない方などは、参考にしてみてください。

カーボンバジェットとは?

カーボンバジェット(炭素予算)は、地球の気温上昇を抑える前提で産業活動を進めていく場合、温室効果ガスをあとどれくらい排出できるかを数値で示したものです。

2023年時点で日本を含む各国は、気候変動問題という人類共通の大きな課題に対してさまざまな対策を進めています。

中でも温室効果ガスは、地球の気温上昇やその他の環境問題に大きな影響を与える物質であるため、その排出量を抑えなければ問題を改善できません。

2010年に実施されたCOP16(気候変動枠組条約第16 回締約国会議)では、地球の気温上昇を2℃以内に抑えるための対策などが議論されましたが、のちに1.5℃以下に抑えるという目標へ変更されました。

また地球の気温上昇を抑えるため、温室効果ガスの排出量上限である「カーボンバジェット」という概念が作られました。

引用:環境省ホームページ

なぜカーボンバジェットが必要なのか?

カーボンバジェットは、環境問題の解決策を考えていくうえで重要な役割を果たします。前段でも触れたように、地球の気温上昇を抑えるには温室効果ガスの排出量を削減する必要があります。

しかし、国や国際機関が漠然と温室効果ガスの排出量削減を掲げても、自治体や企業にとってはいつまでにどの程度の対策を進めればいいのかわからず、行動できません。

そこでカーボンバジェットという概念および指標があれば、どこまで環境対策を進めればいいのか具体的な計画を立てられます。

残りのカーボンバジェットは?

カーボンバジェットの意味や必要性を確認した方の中には、「では残りのカーボンバジェットはどれくらい?」と思った方も多いかと思います。続いては、今後排出可能な温室効果ガスがどの程度なのか確認していきましょう。

IPCCでは570Gt

IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル)では、カーボンバジェットを570Gtと示しました。

IPCCは、世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)の2組織によって作られた組織で、1988年に設立されました。世界の科学者が科学的な視点から気候変動に関する政策立案のサポートを行ったり、6年もしくは7年おきに報告書を公開したりしています。

また、1.5℃特別報告書で地球の気温上昇に関する課題や対策をまとめた際に、地球の気温上昇を1.5℃以下に抑えるための温室効果ガス排出量上限を570Gtと分析しました。

国際組織グローバルカーボンプロジェクトでは残り8%程度

国際組織のグローバルカーボンプロジェクト(Global Carbon Project)では、排出可能な温室効果ガスを残り8%としました。

グローバルカーボンプロジェクトは、温室効果ガスの排出原因や地球環境問題の解決へ向けた研究や政策立案に関するサポートを進めている国際的な組織です。

また、地球の気温上昇を1.5℃以下に抑えようとする場合、排出可能な温室効果ガスを8%として分析しました。しかし、あと10年程度で残り8%分の温室効果ガスを排出してしまう可能性があるため、より大幅な温室効果ガス対策を進めていくことが求められます。

カーボンバジェットの課題

カーボンバジェットで導き出された温室効果ガスの指標は、必ずしも正確な数値ではありません。

なぜなら、各国の温室効果ガス排出量を測定することは可能なものの、今後の削減目標や排出量を正確に予測することはできないためです。さらに各国の温室効果ガス削減目標は、前提条件、計算方法などが異なります。

したがって、企業はカーボンバジェットを絶対的な基準として捉えるのではなく、目安や参考情報として脱炭素化を進めた方がいいといえます。

気候変動問題の現状

2023年時点でも、気候変動問題は進行中の大きな課題です。

IPCCによって作成・公開されている第5次評価報告書によると、1880年から2012年にかけて地球の平均気温は0.85℃上昇しています。また、地球の表面温度は1980年代頃から200年代にかけて上昇し続けていて、なおかつ1850年以降から10年ごとの平均気温より高い状況です。

なお、日本の平均気温は1898年から2014年にかけて100年につき約1.15℃の割合で上昇を続けていて、気候変動の影響を受けているといえます。

引用:環境省ホームページ

気候変動問題を放置するとどうなるのか

ここからは、カーボンバジェットをはじめとして、さまざまな気候変動対策を放置した場合に想定されるリスクを解説していきます。

気温上昇といった環境の大きな変動

温室効果ガスの排出量が増加し続けた場合、地球の平均気温上昇といった問題につながります。

地球の平均気温が上昇すると地表の温度も上昇してしまうため、猛暑による人や動物への影響なども懸念されます。さらに外出や屋外の労働などが困難になるなど、社会を維持することも難しくなると考えられます。

他にも森林火災のリスクが増大するなど、社会や自然にとっても重大な問題です。

災害の増加

気候変動問題を放置した場合、災害リスクという点でも厳しい状況へ変化します。

温室効果ガスの排出により地球の平均気温が上昇していくと、暴風雨や台風の威力が増しやすくなります。またこれによる水害や風災は、人や建物に被害を与えるだけでなく、電気・ガス・水道といったインフラ設備を破壊するおそれもあります。

食料不足

気候変動問題が深刻化していくと、世界的に食糧不足へ陥ってしまいますし、実際に飢餓状態の地域も発生している状態です。

地球の平均気温が上昇したり海の酸性化が進行したりすると、海洋資源不足や農作物の生育不足、牧畜として育てている動物の生育環境悪化など、さまざまな影響につながります。

食料は人や動物にとって欠かせないものであるため、早急に気候変動問題に取り組む必要があります。

二酸化炭素排出量を削減するには?

カーボンバジェットから気候変動問題の状態を把握したあとは、二酸化炭素の排出量を削減するための方法について1つずつ確認していきましょう。

日本を含め、企業は脱炭素経営を求められています。持続可能な社会を実現するためにも、二酸化炭素排出削減へ取り組んでいきましょう。

社内全体で節電活動に取り組む

コストを抑えながら取り組める二酸化炭素削減策といえば、社内全体での節電活動です。

  • 空調の温度を推奨温度で使用する
  • 空調のフィルターを2週間に1回清掃
  • 室外機の周辺に物を置かない
  • 事務用機器や社内の備品(電気式ポット)などを使用しない時は、コンセントを抜いたり電源を切ったりしておく
  • クールビズやウォームビズを積極的に取り入れる
  • 照明の照度を可能な限り抑える
  • LED照明など省エネタイプの照明設備へ切り替える

オフィスや商業施設などの消費電力量のうち、特に割合の大きい設備は照明と空調です。どちらも長時間使用するため、電気代の負担につながります。また、電気を使用すればするほど火力発電の稼働率も上がるので、二酸化炭素排出量が増えてしまいます。

そのため、社内の電気使用量を分析した上で、無駄の多い電気の使用方法や消費電力増加につながる設備の管理方法がないか確認してみましょう。

CSR活動に環境活動を盛り込む

自社のCSR活動に環境活動を盛り込む・活動内容を増やすなどといった行動は、二酸化炭素の排出量削減という点でもメリットがあります。

CSR活動(Corporate Social Responsibility)は、企業の社会的責任を果たす活動の総称です。環境保護に関する活動や人権、労働環境、貧困、差別などといったさまざまな社会問題に取り組むことが企業に求められています。

そのため、CSR活動の一環として植林活動や二酸化炭素排出を抑えられる再生可能エネルギーの導入、事業活動で排出される水の浄化などを行うことで、自社の企業価値アップと二酸化炭素排出量削減という2つのメリットが得られるでしょう。

ESGを意識した事業活動

二酸化炭素排出量の削減について検討する場合は、ESGを意識しながら事業活動を進めてみてはいかがでしょうか。

ESGとは、Environment(環境)とSocial(社会)、Governance(統治)という3点をまとめた用語です。

投資家は、投資基準の1つにESGを用いています。つまり、ESGに配慮しながら事業活動を進めている企業は、高い評価を受けたり投資や支援を行ってもらえたりしやすい状況だといえます。

二酸化炭素排出量の削減につながる活動は、直接的な利益につながりにくく、負担が大きいという側面もあります。しかし、ESG経営をベースに環境活動や脱炭素につながる生産活動を実現できれば、投資家からの高い評価を受けられる可能性があります。

またESG企業向けの融資などもあるので、設備投資や新規事業を展開していく際に取り入れるべき要素といえます。

最新技術を活用

最新技術やイノベーションに注目しておくことは、二酸化炭素の排出量削減効果を伸ばす上で重要なポイントです。

国は、気候変動問題の解決へ向けてこれまでにない環境関連技術の開発を実現するために、戦略を立てたり補助金制度を立ち上げたりしています。

エネルギー関連技術の開発を進められる企業の場合は、非化石エネルギーや水素エネルギー、エネルギーネットワーク分野で脱炭素化に貢献できます。

また、今後開発の進んでいくエネルギー関連技術を取り入れていけば、二酸化炭素排出量を抑えた事業活動を実現できる可能性があります。

サプライチェーン排出量を分析して省エネに取り組む

二酸化炭素排出量の削減を目指す場合、サプライチェーン排出量を分析しておく必要があります。

サプライチェーン排出量とは、自社だけでなくサプライチェーン(=原材料の調達~廃棄まで)の間に排出された温室効果ガス排出量のことです。

自社単体で脱炭素化を進めるのではなく、関連企業と連携した方が効率よく温室効果ガスを削減できます。またサプライチェーン全体で分析を行うと、自社単体では見えなかった温室効果ガス排出量の多い工程を把握することが可能です。

カーボンバジェットを意識した事業活動には非FIT型太陽光発電がおすすめ!

自社の脱炭素化を効率よく進めていきたい時は、非FIT型太陽光発電で自家消費したり環境価値を取り引きしたりしていくのもおすすめです。

非FIT型太陽光発電は、エネルギー関連企業にかかわらず多くの企業にメリットの多い設備です。そこで最後は、非FIT型太陽光発電の強みについてわかりやすく紹介していきます。

FIT制度における負担を抑えながら脱炭素化を進められる

非FIT型太陽光発電は、FIT制度の認定を受けていない太陽光発電を指します。FIT制度を受けた場合は固定買取価格で売電できるものの、脱炭素という点で課題もあります。FIT認定を受けた再エネ電力の買取コストは、電力会社と電気を使用している全ての国民が負担しています。

つまり、二酸化炭素排出量の少ない発電設備で売電可能な一方、国民にとっては金銭的負担の大きな設備であるといえます。

非FIT型太陽光発電は再エネ賦課金の対象設備ではないため、国民の電気料金負担増加につながりませんし、二酸化炭素排出量の削減効果を伸ばせます。

人や環境に優しい設備は、持続可能な社会を実現するために欠かせないポイントです。

二酸化炭素排出量を抑えながら電気を使用可能

非FIT型太陽光発電は、他の太陽光発電と同じく二酸化炭素を排出せずに発電を始められます。

太陽光発電は、太陽の光を電気に変換します。また化石燃料を必要とする火力発電と異なり、発電時に二酸化炭素を排出しません。

さらに、非FIT型太陽光発電は自家消費や売電なども自由に選択できるため、二酸化炭素排出量を抑えながら売電収入や電気料金削減効果を伸ばすことが可能です。

環境価値を保ったまま電力を活用可能

環境価値を保ったまま電力を活用できるのは、非FIT型太陽光発電ならではの強みです。FIT電力に含まれる環境価値に関しては再エネ賦課金という形で国民に還元されるため、電力以外の価値を保てません。

一方、非FIT型太陽光発電で発電した電力はFIT制度の影響を受けないため、環境価値を保ったまま電力を活用することが可能です。

環境価値を保つ必要のある場面は、主に2つあります。1つは環境価値の取り引き、もう1つは企業価値アップにもつながる再エネ関連の枠組み加盟です。

RE100(Renewable Energy 100%)といった再生可能エネルギー関連の枠組みに加盟するには、「環境価値+再生可能エネルギー」由来の電力を所有する必要があります。つまり非FIT型太陽光発電は、再生可能エネルギー関連の枠組みに加盟する上で欠かすことのできない設備だといえます。

また、再生可能エネルギーに含まれる環境価値は企業や個人へ売却できるため、新たな収益源としても役立ちます。

カーボンバジェットを意識しながら脱炭素経営へ取り組むのも大切!

カーボンバジェットは、地球の平均気温を抑えながら産業活動などを続けていく場合、今後排出可能な温室効果ガスを数値で示したものや概念を指しています。また、企業はカーボンバジェットで示された指標をもとに、脱炭素経営を進めていくことも大切です。

温室効果ガス排出量削減の重要性を把握した方や大幅に二酸化炭素を排出可能な方法を取り入れたい方は、今回の記事を参考にしながら非FIT型太陽光発電を検討してみてはいかがでしょうか。

弊社とくとくファーム0では、低圧から高圧までさまざまな規模の非FIT型太陽光発電を供給することが可能です。導入方法については、発電事業者から太陽光発電の非FIT電力を調達したり、非FIT型太陽光発電を設置したりとさまざまな方法でアプローチできます。

また非FIT型太陽光発電を導入したい場合は、とくとくファーム0の専門スタッフが設計から施工、運用、メンテナンスまで一括サポートいたします。

少しでも気になる時は、お電話や弊社HPのメールフォームよりお気軽にご相談ください。

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