家庭用の太陽光発電の普及と比例して、活用が注目されてきたのが「スマートメーター」です。これから太陽光発電の導入を検討しているご家庭は、スマートメーターを理解しておくといいでしょう。
今回は太陽光発電におけるスマートメーターについての解説と、交換時期や見方についてもご紹介していきます。ぜひ参考にしてください。
太陽光発電のスマートメーターとは?
太陽光発電のスマートメーターとは、そもそもどのようなものなのでしょうか。
ここでは、スマートメーターの特徴と現在どのくらい普及しているのかについて解説します。
スマートメーターの特徴
スマートメーターの特徴として、主に以下の4点が挙げられます。
- デジタル表示
- 通信機能の搭載
- ブレーカー機能の搭載
- 30分毎の電気利用料がわかる
スマートメーターは、電気の使用量を30分ごとに計測できるデジタル表示の電力メーターのことです。これまでの電力メーターでは、月に1度の検針で1ヵ月間の電気使用量を計測していました。
スマートメーターには通信機能が搭載されているので、遠隔で自動測定が可能となり、検針員が現地で確認する必要がありません。
もう一つの特徴として、内部構造にブレーカー機能が備わっていることが挙げられます。一度に契約容量よりも電気を使用しすぎてブレーカーが落ちた場合でも、10秒で自動的に復旧されるのです。
2024年度末には日本全体での導入が目標
経済産業省の資源エネルギー庁が発表した資料によると、太陽光発電のスマートメーターが本格的に導入され始めたのは2014年。今後の国全体の目標として、2024年度末までに各家庭にスマートメーターを導入することが掲げられています。
国がスマートメーターの普及を急ぐ理由は、電気の使用量を把握できることで節電効果が期待できる点だけではありません。発展がめざましい再生可能エネルギーや電気自動車(EV)の導入においても、重要な役割を果たすと考えられているためです。
また2020年6月には電気事業法が改正され、計測データが介護や物流業界などさまざまなサービスに使用できるようになったことも理由の一つでしょう。
2022年現在、スマートメーターの普及率は公表されていません。しかし東京電力パワーグリッド株式会社の報告によると、2021年度末には一部を除いてほぼ全ての世帯で設置が完了し、約2,840万台のスマートメーターが導入されたとのことです。
参考:次世代のスマートメーターに係る検討について|経済産業省
太陽光発電のスマートメーターで変わること
多くの世帯で着々と普及が進んでいるスマートメーターですが、ここでは太陽光発電のスマートメーターを導入することで、具体的にどんなことが変わるのか、詳しく深掘りして解説します。
メーターが2つから1つになる
スマートメーターでは、売電用と買電用の2つの計測データが交互に表示されるようになるので、メーターが1つで済みます。買電メーターとは、どのくらいの電力を電力会社から買っているのかを示す機器です。
毎月の電気使用量が反映された電気代が請求されるのは、買電メーターを確認しているからといえます。
一方、売電メーターとは、太陽光発電で電力会社に買ってもらった電力の電気量を計測する機器のことです。従来は、売電用・買電用のそれぞれのメーターを設置しなければなりませんでした。
買電用メーターは電力会社から支給されており、電力会社によっては売電用メーターを自分で用意する必要がありました。しかしスマートメーターに変更すれば、2つの機能が備わったメーターを電力会社から支給されるので、購入費用やメンテナンスの手間が不要になります。
訪問検針が不要
従来のメーターの場合、電力会社が毎月検針日に各家庭や施設を訪問し、どのくらい電気を使用したか計測していました。
スマートメーターを導入することで、このような訪問検針の必要がなくなります。訪問検針が不要になることで検針員の人員コストを削減できるため、利用者側だけでなく電力会社側にも大きなメリットがあるといえるでしょう。
また利用者側のメリットとしては、自宅に検針員が訪問しないのでプライバシーが確保され、防犯の面でも安心です。
災害時の復旧が早い
スマートメーターを導入は、地震や台風などの災害が起こった場合でもスピーディーな復旧を実現します。
本来、停電が起こった際には、ブレーカーを手動で上げて元に戻す必要がありました。しかしスマートメーターには「ブレーカー機能」が搭載されているので、このような事態でも遠隔操作により10秒程度で復旧が可能です。
ただし、関西・中国・四国・沖縄電力のように、スマートメーターのブレーカーが緊急で遮断された場合でも、手動で戻す必要があるケースもあります。詳細については、利用している電力会社の情報を確認しましょう。
このほか、各世帯で30分毎に電力使用量が把握できるので、リアルタイムで停電しているエリアを把握しやすく、迅速な対応ができます。
【太陽光発電】スマートメーターの見方(買電・売電)
電気使用量がわかり、停電時には復旧しやすいなどメリットの多いスマートメーターですが、実際にスマートメーターでどのように確認すれば良いのでしょうか。
ここではスマートメーターに表示されている画面の見方について説明します。
スマートメーターは電力量が見える!
スマートメーターの導入で従来と大きく異なる点は、電気の「見える化」が実現することです。
最大の特徴である通信機能によって遠隔操作で電力会社が自動検針を行うと、利用者もリアルタイムで電気使用量を確認できます。
契約している電力会社によっては円グラフなどでわかりやすく表示しているため、使いすぎなどを直感的に把握でき、節電の効果は抜群でしょう。
またスマート家電と連動させれば、自宅での電力量だけでなく太陽光発電の状況もわかるので非常に便利です。
とくにHEMS(Home Energy Management System)の普及により、それぞれの家電ごとの電気消費量が見えるので、省エネにつながるでしょう。
【スマートメーター】買電の見方
スマートメーターは、約10秒毎に買電と売電の画面が切り替わります。買電の表示は、画面の右側に矢印がついていません。また表示される電力量は累積した数値(kWh)なので、1ヵ月の電気使用量を確認したい場合は、先月末の数値から差し引く必要があります。
買電量がわかると電気料金の計算が可能になりますが、kWhによって3段階料金となるなど、電力会社の契約内容により変わります。
【スマートメーター】売電の見方
スマートメーターの売電の表示は、画面の右側に矢印がついています。表示された数値(kWh)はこれまでの累計の売電量となるので、ひと月の売電量を確認したい際は、月末の売電量から差し引いて計算します。
買電料金を計算したい場合は、下記の計算式となります。
1kWhあたりの売電料金(円)×今月分の売電量(kWh)
売電料金の単価は、契約した電力会社や時期、設備によって異なります。詳しく調べたい場合は、契約時に届く案内や電力会社の専用アプリで確認しましょう。
【太陽光発電】スマートメーターの交換方法
売電・買電メーターが一つになっていて、災害時の復旧も迅速なスマートメーターですが、従来の電力メーターからスマートメーターに取り換える際はどのような流れなのでしょうか。ここではスマートメーターの交換方法について解説いたします。
メーターの設置は各電力会社(東京・中部・九州電力など)
スマートメーターの交換や設置は、一般送配電事業者が実施します。
その手順として、始めに電力会社と契約して希望の電気料金プランを選択します。申し込みが終わると、一般送配電事業者から工事の日程調整に関する書類が届くので、工事日を決定して終了です。工事については、電力会社が依頼をかけるので、利用者の負担はほとんどありません。立ち合いも不要ですが、工事中は停電するので、時間帯を一般送配電事業者に確認しましょう。
スマートメーターに交換するタイミング
アナログの電力メーターからスマートメーターに交換するとなった場合、以下のようなタイミングで設置されます。
- 家を建てたタイミング
- 電力メーターの耐用年数が超過したタイミング
- 新電力と契約するタイミング
- 電力メーター情報発信サービスを申し込んだタイミング
一般的な電力メーターの耐用年数は10年となり、交換が必須と法律で定められています。
HEMS機器を設置する場合は、各家電の電力使用量を確認できるようにスマートメーターに交換しなければなりません。また電気自由化によって新しい電力会社と契約した場合も、スマートメーターの設置が行われます。
メーターの設置費用はかからない
新電力会社と契約したなど、スマートメーターを設置することが決まったら、気になるのは費用面でしょう。スマートメーターは各地域の電力会社が所有しているものなので、利用者が工事代や機器の費用を支払う必要はありません。
スマートメーターの設置は、経済産業省で全ての家庭や施設に導入することが決められている国策です。自分で手配をする必要もなく、無料で工事してくれるので安心といえるでしょう。
太陽光発電のスマートメーターに関するまとめ
太陽光発電のスマートメーターは、節電効果やエリアの電力量管理だけでなく、介護や防災にも大きな役割を果たしています。
また今後は「電気の見える化」によって、暮らしがますます豊かになることでしょう。
スマートメーターは設置するタイミングが決まっていますが、新電力会社に申し込むことによってスムーズに導入が可能です。
電気代を見直したいご家庭は、ぜひスマートメーターの設置を検討してみてはいかがでしょうか。