政府が掲げた、2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度から46%削減する目標を達成するためには、クリーン・エネルギーの活用が不可欠です。中でも太陽光発電は、10%前後の表面利回りが期待できるため、投資物件としても注目が高まっています。
そこでこの記事では、太陽光発電投資のポイントとなる売電収入について分かりやすく解説します。太陽光発電投資のメリットや注意点も説明しますので参考にしてください。
POINT
- 固定価格買取制度により最長20年まで売電価格(単価)は変動しないため、長期的に安定した売電収入が得られる
- 土地と太陽光発電施設をセットにした「土地付き太陽光発電」なら、土地がなくても投資可能
- 高収入を狙うなら、売電価格が高い時期に設置された中古物件がおすすめ!
売電収入を稼げる注目の太陽光発電
太陽光発電投資とは、設置した太陽光発電施設が生み出す電力を、電力会社に売却して収益化するものです。
「固定価格買取制度(FIT法)」によって、最長20年間にわたり一定の価格で売電できるため、外部要因の影響を受けずに安定して収益を上げられます。土地と太陽光発電施設をセットにした「土地付き太陽光発電」もあるため、太陽光発電に適した土地を持っていなくても投資を始められます。
太陽光発電投資は、所有する実物資産から安定収益を得るという点では、不動産投資と類似しています。投資対象として比較した場合、太陽光発電投資のメリットは、固定価格買取制度の対象期間内であれば、家賃変動や空室のリスクがある不動産投資よりも収益が安定していることです。
売電収入の目安
太陽光発電の売電収入は、売電価格と売電量によって求められます。固定価格買取制度に基づく売電価格は、設備が稼働した年によって異なります。ここでは、売電価格の推移を確認したうえで、設備の規模や稼働時期によって売電収入がどのように変化するのかを説明します。
固定価格買取制度における売電価格の推移
- 固定価格買取制度における売電価格の推移(システム容量10kW以上)
年度 | 売電(買取)価格 |
---|---|
2012年度 | 40円+税 |
2013年度 | 36円+税 |
2014年度 | 32円+税 |
2015年度 | 29円+税 |
2016年度 | 24円+税 |
2017年度 | 21円+税(2,000kW未満) |
2018年度 | 18円+税(2,000kW未満) |
2019年度 | 14円+税(500kW未満) |
2020年度 | 13円+税(10kW以上50kW未満)、12円+税(50kW以上250kW未満) |
2021年度 | 12円+税(10kW以上50kW未満)、11円+税(50kW以上250kW未満) |
2022年度 | 11円+税(10kW以上50kW未満)、10円+税(50kW以上250kW未満) |
太陽光発電の固定価格買取制度は2012年度に導入されました。買取価格は、発電にかかるコストなどを基に、同じくらいの期間で投資回収ができるように見直されます。売電価格が年々値下がりしているのは、太陽光発電システムの導入コストが安くなっているからです。
全量売電できるのはシステム容量10kW以上の発電施設で、2012年度~2016年度までは規模に関わらず売電価格が一律でした。2017年度以降は制度が見直され、大規模な発電施設(2017年度から2,000kW以上、2019年度は500kW以上、2020年度以降は250kW以上)については、入札により価格が決定されます。
さらに、2020年度以降は「10kW以上50kW未満」と「50kW以上250kW未満」に分けて、固定価格が設定されるようになりました。
売電収入の計算例
売電収入は「売電価格×売電量」で求められます。売電価格は固定価格買取制度によって決まっているので、売電量が分かれば売電収入を計算できます。
売電収入について、精度の高い予測をするためには日照量などの細かな数値が必要ですが、大まかな目安は「売電価格×(1,000kWh×システム容量)」で計算できます。
この式を使って、今年度(2021年度)に以下の投資をした場合の売電収入を計算してみましょう。
投資条件 | 売電収入 |
---|---|
システム容量30kWの施設を新設(売電価格12円) | 25万2,000円(12円×(1,000×30×70%)) |
システム容量200kWの施設を新設(売電価格11円) | 220万円(11円×(1,000×200)) |
2017年設置のシステム容量200kWの中古施設を購入(売電価格21円) | 420万円(21円×(1,000×200)) |
※2020年度からシステム容量50kW未満の施設は30%以上の自家消費が義務付けられた
表を見れば分かるように、システム容量が同じであれば、売電価格が高かった時期に稼働した中古施設のほうが、新設施設より売電収入は多くなります。
太陽光発電投資のメリット
太陽光発電投資の大きなメリットとしては、「低リスクで売電収入が得られる」ことと「10%前後の高利回りが期待できる」ことが挙げられます。
それぞれについて、その理由ともたらす具体的な効果を分かりやすく解説しますので、参考にしてください。
低リスクで売電収入を得られる
太陽光発電投資の最大のメリットは、固定価格買取制度により、電力需給や経済動向に関わりなく、売電価格が保証されていることです。個別の価格は太陽光発電を始めた時期や発電量などによって異なりますが、最長20年まで固定された単価で売電ができます。
収益予測に大きな影響を及ぼす変動要素が発電量だけであることも、固定価格買取制度のメリットです。変動要素の多い不動産投資と比べて、より精度の高いシミュレーションができることにより、金融機関の融資審査が通りやすくなるからです。
10%前後の高利回り
太陽光発電投資は、利回りの高さが特徴です。土地と太陽光発電設備をセットにした「土地付き太陽光発電」でも、年間収入を投資額で割った「表面利回り」で10%前後が期待でき、10%を超えることも珍しくありません。一般的に表面利回りが4%~6%とされている不動産投資と比べると、その高さがよく分かります。
利回りの高ければ、投資回収期間が短くて済みます。たとえば、表面利回り10%の物件は10年で投資金額分の収入が得られます。実際にはランニングコストや借り入れをした場合には金利が発生しますので、きっちり10年で投資回収ということにはなりません。それでも、不動産投資などより短期間で投資資金を回収できるでしょう。
太陽光発電投資の注意点
太陽光発電は、屋外に設置して自然エネルギーを利用するものだけに、気象や災害の影響が気になる方は多いでしょう。また、投資対象として考えると、収益に関係するその他の要因も確認しておくことが大切です。
ここでは、特に注意が必要なポイントを5つ取り上げ説明します。いずれも投資する前に内容を把握して対策を講じておけば、リスクを最小限に抑えることが可能です。
日照不足による収入の減少
太陽光発電の発電量は日射量に依存し、曇天・雨天時は晴天時に比べて極端に日射量が落ち込みます。また、日照時間の長い春から夏にかけて発電量が増加し、秋から冬へと日照時間が短くなると発電量が減少するという季節変動もあります。
収支計算のシミュレーションはこうした変動要因を組み込んで行いますが、異常気象による日照不足で想定どおりの発電量が確保できず、収入が減少するリスクのあることは、理解しておく必要があるでしょう。このための対策としては、後述する「過積載」にすることなどが考えられます。
設備の故障や損壊
太陽光発電では、定期的なメンテナンスが法律によって義務付けられています。逆にいえば、定期的なメンテナンスを怠らなければ致命的な故障に至ることはあまりありません。
とはいえ、経年劣化による発電効率の低下や故障、設置工事における配線不良やボルトの緩みといった人為的なミスは起こり得ます。また、まれに落雷によって故障することもあります。
経験豊富で実績がある業者にメンテナンスを依頼しておけば、故障リスクを低減できますし、緊急の場合でも迅速に対応してもらえるでしょう。
自然災害による被害
太陽光発電施設は屋外に設置するため、台風や豪雨、豪雪、地震といった自然災害により破損してしまう可能性があります。自然災害を完全に予測することはできませんが、リスクを最小限に抑えることは可能です。
基本は、ハザードマップなどを丹念に調べることです。所有する土地に設置する場合は、致命的なリスクとなる要素がないかよく確認します。土地を含めて購入する場合は、できるだけ被害を受けにくい立地の物件を選びましょう。被災時に使える保険や設備の保証内容を確認しておくことも大切なポイントです。
近隣トラブル
太陽光発電設備を設置するにあたっては、近隣トラブルにも注意が必要です。よく起こりがちなトラブルは以下のようなものです。
- 反射光
太陽光パネルに反射した光によって、まぶしくて窓を開けられなかったり、室内温度が上昇したりすることによるトラブルです。 - 雑草
施設内に生える雑草を放置すると、景観悪化、敷地外へのはみ出し、害獣や虫の発生といったことを招く可能性があります。 - 騒音
太陽光発電設備の動作音は、エアコンの室外機と同等かやや大きい程度ですが、静かな環境であれば気になる人もいるでしょう。
近隣トラブルになり得る要因は、周辺状況の調査に基づきシミュレーションを行うことで予測可能です。設計・施工段階から対策を講じ、近隣に住む人たちに説明するなど、事前に対応しておけば、近隣トラブルの発生はかなり抑えられるでしょう。
出力抑制
電力の需給バランスを保つために、電力会社が太陽光発電の電力買取を一時的に停止することを出力抑制といいます。出力抑制をされている間は売電できず、発電事業者の収入は減少することもあり、実施にあたっては以下のルールが設けられています。
- 旧ルール:無補償の出力抑制は上限年間30日
- 新ルール:無補償の出力抑制は上限年間360時間
- 指定ルール:無補償の出力抑制の上限なし(無制限)
電力会社や発電規模、接続申込の時期によって、適用されるルールは異なるため、売り主や売電契約している電力会社に確認しておくことが大切です。出力抑制による損失を補償する保険もあるので、調べておくとよいでしょう。
売電収入を増やす方法
売電収入は「売電価格」と「売電量」によって決まります。したがって、売電収入を増やすには「売電価格」を高くするか、「売電量」を増やすことが必要です。
ここでは、そのための方法として「過積載」「適切なメンテナンス」「中古物件の利用」の3つを紹介します。
過積載
太陽光発電は日照量に左右され、晴天時の日中に比べて、曇天時や早朝・夕方は発電効率が低下します。このような日照量が少ない状況での発電量を増やすのに有効な方法が「過積載」です。
太陽光発電システムには、「パワーコンディショナー」という太陽光パネルで発電した直流電力(DC)を通常使用している交流電力(AC)に変換する機器が備わっています。「過積載」とは、パワーコンディショナーの容量以上に太陽光パネルを設置することをいいます。
「過積載」にするとパワーコンディショナーの容量を超えて発電した電力は捨てることになりますが、太陽光パネルが容量いっぱいまで発電できるのは条件が良好なときに限られます。このため、太陽光パネルの量を増やして発電容量を大きくしたほうがトータルの収支はプラスになるのです。
適切なメンテナンス
パワーコンディショナーが故障すると、売電ができなくなります。故障そのものは保証期間内であれば無償でできますが、収入は補償されません。
また、太陽光パネルに暴風雨で落ち葉やごみが大量に付着したり、鳥の糞や油汚れなどがこびりついたりした場合は、発電効率が低下します。場合によっては局所的に発熱するホットスポット現象によって故障に至る可能性もあります。
こうした事態を防ぐためには、適切なメンテナンス体制が必要です。定期的な点検で機器の故障の芽を摘み、緊急時にも迅速に対応できる業者にメンテナンスを依頼しておけば、発電設備の稼働率が向上し、収入も増加します。
中古太陽光発電所への投資
「固定価格買取制度」に基づく太陽光発電の売電価格は、年々下落しています。しかし、施設が設置・稼働した年の価格が適用されるため、中古物件であれば新設するよりも高い価格での売電が可能です。
たとえば、2016年度に設置した中古物件の売電価格は24円で、今年度(2021年度)に新設した場合(10kW以上50kW未満の設備が12円、50kW以上250kW未満の設備が11円)の2倍です。つまり、売電量が同じでも倍の収入が得られるということです。
設置期間を考慮しなくてよいことや、過去の稼働データを利用したシミュレーションでより精度の高い収支計画が立てられることも、中古物件のメリットです。
太陽光発電投資で稼ぐならとくとくファームへ
太陽光発電投資は、リスクが少なく、不動産投資などと比べて利回りが高いことがメリットです。ただし、設備の発電効率を落とさず安定的に稼働させるためのメンテナンスや近隣とのトラブルを回避するための対策といったことをしなければ、メリットを享受することはできません。また、事業用として売電するためには煩雑な事務手続きも必要です。
このため、太陽光発電投資をするならば、太陽光発電ビジネスに精通したプロのサポートを受けることをおすすめします。とくとくファームは、太陽光発電に関する基礎的な相談をはじめ中古太陽光発電所の仲介、資金調達、各種手続き、メンテナンス、税務など、太陽光発電に関するすべてのサポートをワンストップで提供しています。
まとめ
太陽光発電の売電収入は、「売電価格」と「売電量」によって決まります。より多くの売電収入を得る方法としては、太陽光パネルを「過積載」して発電量を増やしたり、固定価格買取制度に基づく売電価格が高く設定されている中古物件を購入したりすることなどが挙げられます。売電収入が増えれば、投資回収期間を短くできます。
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