太陽光発電事業を始める際に気を付けるポイントのひとつが、近隣トラブルです。たとえば、敷地内の雑草などが隣地に入ってしまうと迷惑になりますし、苦情や訴訟につながります。本記事では、太陽光発電の近隣トラブル事例やリスク、対策について詳しくご紹介します。太陽光発電事業を始めるものの隣地との距離が近いことで悩んでいる方などは、参考にしてみてください。
太陽光発電事業における近隣トラブルリスク
太陽光発電の近隣トラブルといってもどのようなリスクが生じるのか、イメージできない方も多いかと思います。まずは、太陽光発電事業において注意すべき近隣トラブル・リスク1つずつ確認していきましょう。
太陽光パネルの反射光トラブル
太陽光発電事業では、太陽光パネルの反射光を原因とした近隣トラブルに注意が必要です。
太陽光パネルで日光を吸収する際、パネル表面から反射光が生じます。そのため、周囲に歩道や住宅、農地などがあると、反射光による影響を与えてしまうリスクもあります。
たとえば、周辺住民の部屋に反射光が入り、まぶしい・暑いといった苦情を受ける可能性もあり、注意が必要です。反射光は、太陽光パネルの設置角度や向きを調整しておくことで事前に対策できるため、設置場所の周辺をよく調査しておくことが大切です。
雑草などが隣地や近隣の敷地に入ってしまう
太陽光発電所の敷地内に生えている雑草が、隣地や近隣の敷地に入ってしまうことでトラブルに発展する可能性もあります。
隣地や近隣の敷地に入った雑草が生い茂ってしまうと、害虫や、ヘビなどの害獣が住み着き、農作物への被害などにつながる恐れがあります。他にも敷地内に飛来してきたゴミが、近隣の敷地へ入ってしまい苦情を受ける場合もあります。
こうしたトラブルを防ぐため、敷地内の定期的な清掃と除草作業を徹底するのが大切です。ただし、自分で除草剤を撒いたりすると近隣の土地に流れ出す場合もあるため、対応に慣れているO&Mサービスへ適切な対策を確認することをおすすめします。
施工中の騒音トラブル
太陽光発電事業では、施工中や設置後の音に関するトラブルにも気を付ける必要があります。
具体的には、太陽光パネルや部材の運搬時に発生する音を原因とした近隣トラブルです。
- 輸送用トラックが頻繁に通行していてうるさい
- 施工中の重機や工事の音が気になる
- 作業員の話し声が気になる
また、パワーコンディショナが発する音に関する苦情がくることもあります。原因は主に、冷却用ファンを稼働させるモーター音や高周波音です。住宅地の近くに設置する場合は、パワーコンディショナのメーカーに騒音を確認し、騒音の距離減衰式と騒音レベルの合成式を用いてどの程度影響があるかを把握しましょう。
近隣トラブルリスクを少しでも抑えたい場合は、パワーコンディショナの周囲へ防音パネルを設置するなどといった対策を検討するのも一つの手です。
太陽光発電による景観問題
太陽光発電所はその規模感から目に付きやすく、見た目も無機質で無骨なため、場合によっては景観破壊に関する苦情や訴訟につながります。
具体的には以下のような状況にある場合、景観破壊の苦情を受ける可能性が高いです。
- 元々太陽光発電の反対運動が強い地域
- 史跡など歴史的・文化的な景観がある地域
- 自然景観が観光資源となっている地域
- 反対意見の多い状況で強引に事業を進めてしまう
- 住民説明会で納得してもらえていない
上記のような状況を放置したまま太陽光発電の設置に踏み切れば、更に大きなトラブル・訴訟へ発展する可能性もあります。景観に影響を与えない土地で検討したり、設置予定場所の主要な展望点(展望台や登山道、キャンプ場など)から景観を崩す恐れがないか確認したりして対策しましょう。
近隣が農地の場合は日照や排水などに関するトラブルリスクも
太陽光発電所の隣地や近隣が農地の場合、設備の設置による影や反射光による日照・排水トラブルに注意しましょう。
たとえば、太陽光発電の設置で近隣の農地に日陰ができてしまうと、日照不足による農作物の生育不良を引き起こしてしまうケースもあります。工事中も含め、排水が流れ込むことのないよう気を付ける必要もあります。太陽光発電事業を始める際は、土地選定の段階で周辺環境や農地の有無なども慎重に確認しておくのが重要です。
太陽光発電の近隣トラブル事例
太陽光発電の近隣トラブル事例には、反射光をきっかけとした訴訟ケースもあります。
2015年9月、兵庫県姫路市の男性が、自宅周辺に設置されたメガソーラーの太陽光パネルによる反射光トラブルで訴訟を起こしました。自宅の部屋に入った反射光によって、室温が50℃にまで上昇し、熱中症を引き起こしたという内容です。
裁判では原告と被告が互いに主張を述べる状況だったものの、和解に向けた動きもありました。しかし結果としては和解には至らず、2017年に原告と被告共に訴状を取り下げという内容で一区切りついた形です。
裁判は約2年間の長期にわたって行われていました。このため、太陽光発電事業者にとっては事業を一時的にストップしなければいけない状況でした。賠償する事態に至らなかったものの、結果的には稼働できなかった分の損失が出ています。
このように近隣トラブルは訴訟へ発展するリスクがあり、あらかじめ近隣に及ぼす影響を十分に検討して進めなければなりません。
災害の影響による太陽光発電の破損および近隣トラブルにも注意
太陽光発電事業を進めていく場合は、近隣トラブルだけでなく災害による破損リスクを把握しておく必要があります。また災害による太陽光発電の破損がきっかけで、第三者への賠償責任を問われる可能性もあり、慎重に検討しておくべきポイントです。ここからは災害の影響による太陽光発電の破損と近隣トラブル事例・リスクについて解説します。
台風によるパネルの飛散
日本は、台風の影響を受ける地域です。そのため、太陽光発電所の設置場所や台風のルート・規模によっては、太陽光パネルの飛散や割れといった破損トラブルを招く場合もあります。
経済産業省の「今夏の太陽電池発電設備の事故の特徴について」によると2018年に発生した台風は、全国的に太陽光発電所へ被害をもたらしました。
具体的には次のような被害です。
- 猛烈な風による太陽光パネルの飛散
- パネルの割れや破損
- 破損による火災
また水上設置型太陽光発電では、フロート全体が流されたり、フロートごとめくれあがったりするといったトラブルも発生しています。
豪雨による土砂崩れに太陽光発電所が巻き込まれて、架台ごと損失してしまうケースも出ています。土砂崩れに巻き込まれたことで周辺の住宅や建物へ衝突してしまうと、賠償責任を問われてしまう場合もあるのです。
さらに、飛散した太陽光パネルが周辺の住宅や人へ飛来するケースもあります。このように設置場所周辺への影響は、災害時のことも考慮する必要があるのです。
災害は予測が難しいトラブルを引き起こすこともあるため、近隣に影響を与えてしまうこともあるため、賠償責任に関する補償の付帯された保険へ加入するなどの対策も検討しましょう。
出典:経済産業省ウェブサイト
地震によるパネルや周辺機器の破損
太陽光発電所は、地震の揺れや揺れに伴う影響を受けやすい設備です。経済産業省の「今夏の太陽電池発電設備の事故の特徴について」によると、2018年に発生した北海道胆振東部地震では、道内の太陽光発電所にて3件の事故が発生しました。
1件は地震に伴う地割れや地面の隆起といった事象で、架台と太陽光パネルの破損を招きました。もう1件は、パワーコンディショナのショート(短絡)や、地絡(大地に電気が流れること)による太陽光発電所の運転機能喪失というパターンです。
地震の場合、太陽光パネルや周辺機器を支える架台ごと破損してしまう可能性があるため、被害を回避することは難しいといえます。ただし、地盤の強化や揺れに強い設計など、被害を軽減させる対策は可能なので、災害対策のノウハウを持つ施工業者、O&Mサービスへ相談するのがおすすめです。
出典:経済産業省ウェブサイト
太陽光発電の近隣トラブルリスクを抑えるには?
ここからは、太陽光発電の近隣トラブルリスクを抑えるために必要なポイントを紹介します。
土地選定の段階でなるべく周囲の影響が少ない場所を選ぶ
これから太陽光発電事業の計画を立てる場合は、土地選定の段階から近隣トラブルリスクの少ない場所かどうか調べる必要があります。
周囲に住宅や農地の少ない土地は、反射光や騒音といった近隣トラブルリスクを回避しやすいでしょう。また太陽光パネルの反射光、パワーコンディショナの音など、近隣トラブルリスクに関する対策へのコストやリソースを軽減できるため、よりスムーズに太陽光発電事業を進めることが可能です。
さらに、地盤の強い土地なら、台風や豪雨による土砂崩れ、地震による地面の隆起や揺れのリスクを抑えられるので、太陽光発電用地の選定は特に重要といえます。しっかりと事前調査を行えば、のちのトラブルによるコストや手間を回避できるでしょう。
住民説明会を実施
住宅などの建物、農地、通行人の多い環境で太陽光発電設備を設置する場合は、あらかじめ住民説明会を実施するのが大切です。2024年4月以降、出力50kW以上の太陽光発電におけるFITやFIP制度の認定要件には、住民説明会の実施が含まれます。
住民説明会を行わずに造成工事や太陽光発電の設置工事を進めてしまうと、住民の不信感を募らせてしまいます。住み慣れた土地で、知らない間に大きな開発が進めば、誰しも戸惑ってしまいます。不信感をきっかけにした苦情や訴訟、反対運動につながりかねません。
太陽光発電用地の周辺に住宅などがある場合は、住民説明会で住民の疑問点や不安に感じているポイントをヒアリングし、事業の進め方や災害対策などを丁寧に説明して、信頼を得ることが大切です。
敷地外に枝や雑草などが出ないよう管理
太陽光発電所を設置したあとは、敷地外にゴミや枝、雑草などが出ないように管理していきましょう。具体的には次のような作業が挙げられます。
- 敷地内の定期的な清掃
- フェンスの設置
- 雑草の除草作業
- 周辺の木の剪定
除草剤を使用する時は、事前に隣地の状態や敷地内の土壌を確認しておくことも重要です。万が一、除草剤が敷地外に流れてしまった場合、隣地の庭や農地などに影響を与えてしまうためです。
太陽光発電設備を常時監視できる体制を作る
太陽光発電所の近隣トラブルは、初動の迅速な対応が重要です。さまざまなリスクに対応できるよう、設備や敷地内を常時監視できるシステムや体制を準備しておく必要があります。
太陽光発電所の管理については、国家資格や専門技術を持った者でなければ対応できません。太陽光発電や敷地内の運用管理については、O&Mサービスを利用するのがおすすめです。O&Mサービスは太陽光発電専門のメンテナンスサービスで、運用管理に関しても対応しています。
次の項目では、O&Mサービスの強みを紹介します。
太陽光発電の近隣トラブルリスク軽減にO&Mサービスが重要
最後は、太陽光発電の近隣トラブルリスク軽減にもメリットのあるO&Mサービスの強みを紹介します。
遠隔監視サービスで24時間設備や敷地内を監視
O&Mサービスでは、遠隔監視システムにて24時間365日太陽光発電所を監視してくれます。
遠隔監視システムは、主に太陽光発電所の発電量、パワーコンディショナの稼働状況などに関するデータを、インターネット経由で取得できる設備です。遠隔監視システムを活用して、常時スタッフによる監視業務を行ってくれます。自社で遠隔監視システムを用意せずに済むのが、メリットの一つといえます。
万が一、遠隔監視システムにて異常を検知したときは、O&Mサービスのスタッフが現地へ駆けつけて、異常の原因を解析してくれます。必要に応じでメンテナンスを実施することもあります。
こうした遠隔監視システムがあれば、故障による火災などのリスクを抑えられます。事故による第三者への損害賠償責任といったリスクも抑えることが可能です。
O&Mサービスでは、設備の遠隔監視だけでなく、敷地内に設置したカメラにて侵入者の早期検知といったサポートも行ってくれます。
定期メンテナンスおよび修理交換に対応
O&Mサービスの主要なサポートの一つが、定期メンテナンス・修理交換です。
太陽光発電所のメンテナンスや修理交換は、国家資格を持ちなおかつ専門技術や知識・経験がなければ対応できません。O&Mサービスに依頼すれば、太陽光パネルやパワーコンディショナ、周辺機器、架台などの劣化や異常を早期に発見してくれます。
点検内容については、電圧や抵抗の測定をはじめとした、電気点検と目視による点検の2種類で構成されています。
架台の接続部分が緩んでいたり破損していたりすると、パネルの飛散リスクを高めてしまいます。飛散によって、破片や部品が第三者に直撃するような事故も起こり得るのです。定期メンテナンスは、発電量の低下防止だけでなく、近隣トラブルリスク対策としても重要な項目です。
敷地内の清掃・除草作業にも対応してくれる
一般的にO&Mサービスは、太陽光発電所の敷地内に関する管理業務にも対応してくれます。
敷地内の清掃作業やパネル洗浄、雑草などの除去といったサービスに対応しているので、近隣の敷地への雑草侵入・害虫の増加によるトラブルリスクを抑えられます。
自社で定期的な清掃作業、害虫・害獣対策は行えるものの、従業員のリソースや事業活動の状況によっては、必ずしもこまめに対応できるとはかぎりません。清掃作業などにも対応可能なO&Mサービスと契約しておけば、清掃や除草作業のし忘れを防げますし、フェンスの破損などを早期に発見することが可能です。
太陽光発電の近隣トラブル事例やリスクを把握した上で対策を行うのが大切
太陽光発電事業では、近隣トラブル事例や起こり得るリスクを把握し、事前に対策を立てた上で計画を進めていくことが大切です。ただし太陽光発電所の管理運用は、プロの技術やノウハウがなければ難しいポイントといえます。
近隣トラブルリスクを抑えたい方や太陽光発電所の雑草や害獣に悩んでいる方は、今回の記事を参考にしながら、O&Mサービスの新規利用・切り替えを検討してみてはいかがでしょうか。
とくとくサービスは産業用太陽光発電専門のO&Mサービスです。定期メンテナンスから遠隔監視、緊急時の駆けつけサービス、防災対策まで総合的にサポートしています。
また近隣トラブルにおいて注意しておきたい雑草や木々の枝、害獣、敷地内のごみに関しても、とくとくサービスのメンテナンスプランで対応可能な範囲です。災害による太陽光発電所の被害を軽減するための対策も行っているので、台風などの影響を受けやすい地域で太陽光発電事業を行っている方にも検討しやすいサービスです。
無料おためし点検もご利用可能なので、お電話やWebフォームからぜひお気軽にご相談ください。